2013.06.06(Thu)

怒っている時に正しい判断はできない。
「怒らない経営」はもっとも合理的なんです。

ライドオン・エクスプレス 江見朗

週刊現代
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何とかなる

 日本に帰ってきて、サブマリンサンドイッチ(コッペパンに具をはさむ潜水艦のような形のサンドイッチ)の店を立ち上げました。まだ日本にない、という理由でした。当時、私はBS(バランスシート)やPL(損益計算書)も読めなかったので、売り上げはあるのに、なぜかお金がない、という状態が長く続きました。「おいしいものを作り、売れてこそナンボ」という考え方にばかり囚われていたのです。ただ、いろいろ試していればいつかはうまくいく、という自信だけは持っていました。

店員と一緒に記念撮影。後列左から2人目が江見氏。前列一番左の副社長とは、バーでたまたま知り合った縁

流転の果て

 転機は、サンドイッチを積んだ台車を引いて、商店街へ売りに行ったときのことです。「販売方法を変えれば、同じ商品がここまで売れるのか!」と衝撃を受けました。これをきっかけに販売方法を模索し始め、宅配をビジネスの中心に据えました。ブランドも「やはり日本人はお寿司が好きだから」と『銀のさら』へ変えました。人は結局、トライし、失敗しながら学んでいくのでしょう。

心の分析

 若い頃から理屈っぽく、人間や、人生や、仕事を「科学」したかった。たとえば「怒らない経営」も、他人の心、いや、自分の心すら科学的分析の対象にし、行き着いた結論です。そんな私にとって、不幸の源は「何が重要か、優先順位がこんがらがること」。まずは命が一番大事で、2番目以降が仕事やお金でしょう。

 ところが、命よりお金を大事にするなど、優先順位がこんがらがると、人は不幸になります。部下と話す時も同じ。相手は幸せになりたいはずです。しかし、なにが幸せかは人によって違う。ある人は、成長することかもしれないし、ある人は、みんなと笑いあうことかもしれない。なら、この部下は今、何が必要なのかという優先順位を考えれば、接し方が見えてきます。

イーブン

 私がよくないと思うのは「オマエのためを思っているんだ!」と言いながら怒る上司。結局、感情のはけ口にしているにすぎない場合がほとんどです。人間は常にイーブンで、社長と新入社員であっても、怒る権利など持っていない。そんなに腹が立つなら、感情は自分の中で処理しなさい、と言いたくなります。

心を整える

 感情や、古いしきたりなどに「囚われる」こと。これが最もソンです。本当に腹が立ったときは、自分がソンをしないために、事態を客観視するとよい、と思っています。誰でも自分がかわいい。その自分が一番トクをする選択は何か。これを考えれば、わざわざソンをする選択などバカバカしくてできません。古いしきたりに囚われるのもソンですね。

 目の前の仕事に目を奪われず、仕事を始める前に、なぜこれをしているのか、目標は何かなど、立ち止まって心を整えると「今日はこうしてみよう!」と新しいアイデアが出てきます。

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