『第四権力 スキャンダラス・テレビジョン』著者・高杉良氏インタビュー 「日本のテレビの劣化は、日本全体の劣化をそのまま反映しているのです」

独身テレビマンと美貌の元女子アナのコンビ

---この作品の舞台は、1980年代に画期的なニュース番組「ニュースショー」を成功させて急成長した「テレビ東日」というテレビ局。親会社「東日新聞社」からの天下りではない初めてのプロパー社長の座を巡る暗闘、そして、組織内のさまざまな問題が描かれていきます。高杉さんはなぜ今回、テレビ局を小説の舞台に選んだのですか?

著者の高杉良氏

 一昨年の秋、佐高信さん(評論家)と週刊現代編集長と3人で食事をしたんです。そのとき、佐高さんが突然、「高杉さん、テレビを舞台にした小説を書いたらどう?」と言い出して、ずいぶん盛り上がったんですね。

 編集長からは「テレビがテーマなら、うちの連載小説にぴったりですね」と言ってもらい、佐高さんからはさらに「内情を暴くのがタブーとされているテレビ業界だから、これは面白くなる。高杉さんしか書けないよ」などと煽られた。僕も気持ち良く酔っぱらっていたこともあり、「よし、やろう」となったわけです(笑)。

 そうやって週刊現代で連載が始まり、毎週、10ヵ月ほど書き続けました。それをまとめて大幅な加筆修正を行い、一冊の小説にしました。

 最初、僕がテレビ局の内情を書くと聞いて、付き合いのある新聞社の人たちがギョッとしたような表情をしていたのをよく覚えています。系列の局の内情を書かれると思ったのかもしれません。もちろん、巨大な影響力を持つメディアの話ですから、僕も書きながら緊張感がありました。

---高杉さんには大手新聞社を舞台にした長編小説がありますが、テレビメディアについては、どんな印象を持っていたのですか。

 「テレビ番組は全体的に劣化しているなぁ」と思っていました。世代的な感覚もあるかもしれませんが、僕にとって、見たいと思う番組がほとんどないんです。ニュースは見ていますが、あとはBSで古い映画を見たりしているくらい。

『第四権力 スキャンダラス・テレビジョン』
著者=高杉良
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 実際、どこの局も、似たようなタレントが出る、似たようなバラエティ番組ばかりやっているでしょう。「こんなつまらない番組が溢れているようでは、日本の民度はどんどん下がっていくのではないか」という心配がありました。その昔、大宅壮一がのたまった「一億総白痴化」は核心を衝いていたのかもしれませんよ。

 テレビばかり、それも中身のない番組ばかり見ていて、民度が上がるはずもありませんから。そういう意味で、テレビの世界を描いた本書を読んで、活字の物語の面白さに気づいてくれたら、ちょっと皮肉な感じもしますけど、著者としては本当に嬉しいです。

 しかも、取材していくうちに、テレビ業界の人たちはかなり活字の世界にコンプレックスがある、ということにも気づきました。これは面白い発見でした。