短期連載 早熟の才能は、どうすれば順調に育つのか「神童」たちの「その後」 小学生社長の中学受験

2013年05月26日(日) フライデー

フライデー賢者の知恵

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「シンガポール版も1万セット出ましたし、月に2~3本、テレビや雑誌の取材も受けています。世界進出への第一歩は踏み出せたと思っているんですが……」

 と、歯切れが悪い。ケミクエの制作から販売の過程で別の会社が関わるため、大きな儲けにつながらず、また康さんは、起業により勤務先のコンピューター関連会社に居づらくなり退職していたのだ。

「事業を黒字にするためアイディアを絞っているところです。ケミクエは『世界の宝』。何としても広めないと」

 と力説する康さんと、事業パートナーである維斗くんの間には温度差があるようだ。科学部、鉄道研究部、卓球部に所属する忙しい中学生の維斗くんは、京王電鉄にハマる筋金入りのテツとして、家では「デバイス接触中毒」(両親)と言われながら知識を収集する日々だ。

「維斗は、メディアやイベントでは本当に頑張って商品をPRしています。それでも、金銭的にも精神的にも、あまり報われないことでやる気をなくしたんじゃないかと思うときもあります」

 と語るななさんの隣で、維斗くんは「やる気は変わってない」と否定する。では、「会社黒字化への打開策としてのケミクエ第2弾の進捗状況は?」と尋ねると、「構想は頭にあるんだけど」との答え。「フル稼働」宣言はどこへやらである。

 彼は、幼い頃から変わらず、そのとき一番興味があることに没頭し、知識を吸収しまくってきた。受験や経営に役立てる目的で、それをしてきたわけではない。

 現に、中学校での成績は〝中の下〟なのだという。「定期テストの勉強の仕方がさっぱりわからない」(維斗くん)のだそうだ。だからといって気にしている様子もない。では、どうやって難関校に合格したのかを尋ねると、「授業中に黒板を丸暗記して、あとは問題を解きまくった」(維斗くん)とのこと。

「やる気を出したときの集中力は本当にすごい。そしてすごく強情」と前出の丸氏は維斗くんの性格を分析する。

 社長業にしろ、学校の成績にしろ、維斗くんが動く気にならない限り何も始まらないのだ。

 そんな維斗くんの将来像を、両親はどう考えているのだろうか。康さんは、

「以前から海外の大学に行きたいと言っているので、広い視野で考える人になって欲しいです。〝宇宙目線〟で語れる人間ですかね。維斗のスケールを上回る人物に巡り会えたら、その人に導いてほしいのですが、残念ながら、そんな人にはまだ出会えていないんです」

 一方、ななさんはというと、

「私は違いますね。母親だからかもしれないけど、大変な子を授かったと思ってからは、責任を持って育ててきました。自分の手で育てたい。彼が希望する道は、どんな方向でも喜んで進ませますが、その前に学校の成績がねぇ……。やればできるのにもったいない!」

次ページ  意見の異なる両親に挟まれて維…
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