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短期連載 早熟の才能は、どうすれば順調に育つのか「神童」たちの「その後」 小学生社長の中学受験
フライデー
インタビュー中、維斗くん(左)が両親を前に持論を展開。専門用語が飛び交っても、両親は耳を傾けていた

 ケミクエの原型を思いついたのは、維斗くんが小3のとき。彼の興味は、惑星から地球を形作る岩石や鉱物に埋まるアンモナイトなどの古生物、そして鉱物を組成する元素へと移っていた。

「約100種類の元素が結合して、世の中の物質が作られることに感動したんです。それを友達にも伝えたかった」

 維斗くんはパソコンに向かうと一気にケミクエの原型を作り上げた。「元素記号の知識のない小学生が楽しめるはずがない」というななさんの心配をよそに、そのゲームは友人の間で好評を博した。

 小5の秋、維斗くんは、日本科学技術振興財団や国立天文台のトップが運営委員や呼びかけ人に名前を連ねる「東京国際科学フェスティバル」(TISF)に参加し、ケミクエの原型を披露すると、国立天文台准教授の縣秀彦氏をはじめ、多くの科学者が絶賛した。維斗くんにとっては、そのこと以上に30人近くの小学生が夢中になってくれたことのほうが自信につながった。

 '11 年1月、康さんと維斗くんは、科学技術分野の教育関連商品を扱う「株式会社リバネス」の代表取締役・丸幸弘氏にケミクエの商品化の相談に行った。「ケミクエを世界に広めるにはどうしたらいいですか?」と率直に問いかける維斗くんに、丸氏は思いがけない提案をした。

「米山くんが社長になればいいんだよ」

 この提案について丸氏が回想する。

「特許は簡単に取れませんし、一般的に小学生向けの科学ゲームは売れないとされています。米山くん自らが商品化するしかないのですが、それには会社があったほうがいいと考えたのです。米山くんは、友人やTISFでの反応を見て、商品としていけるという感触を掴んでいた。自らマーケティングをし、結果をロジカルに説明できる彼なら、起業できると思ったから勧めたんです」