話題の本の著者に直撃!阿川佐和子
「小説家の家に生まれることほどの不幸はない」と思っていました

あがわ・さわこ/'53年生まれ。東京都出身。ニュース番組などでキャスターを務め、'99年、『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞受賞。近著の『聞く力―心をひらく35のヒント』(文春新書)は130万部を超える大ベストセラーに〔PHOTO〕金井尭子

取材・文/大西展子

―これまでも様々な立場や職種の女性を描いてきた阿川さん。今回、下町生まれの新人女性検事を主人公にしたきっかけはなんだったのでしょう。

 50歳から始めたゴルフのコンペで一緒に回ることになった一人が女性検事だったんです。彼女はとても美人でファッショナブル。しかも、明るくて人なつっこくて、お酒にもめっぽう強いんですよ。私より15歳も下なんだけど、面白い人がいるものだと感心してすっかり意気投合しましてね。以来、食事をしたり、ゴルフに行くようになったんです。そんなときに、「なんで検事になったの?」「検事ってどんなことをするの?」って話を聞いていたら、彼女、すっごく賢いのに、ちょっと抜けているところがあって、新人時代の失敗話やドジ話が次々と出てくるんです。それがあまりにおかしいものだから、彼女をモデルにした小説を書いてみようと。

『正義のセ 1~3』
著者:阿川佐和子
⇒本を購入する(AMAZON)

―構想が決まれば書き出しはスムーズだったのでは?

 ところが、いざ書こうとすると彼女はベテラン検事なのでなかなか難しい。だったら、彼女の後輩、新人女性検事が、そこでぶち当たった壁に正義感を燃やしつつ、ときに失敗し、情にも流され……といった成長物語としてならどうだろう、と視点を変えて書く道筋が生まれて……。

 ただし、書くからには本物の検事さんたちが読んで納得できるものにしなければならない。仕事の現場を知ることはもちろん、専門的な知識も必要ですから彼女に相談してみると、「協力するよ」と言ってくれて。それこそ検察庁や裁判所を見せてもらったり、新人の女性検事さんに取材もさせてもらいました。