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[虎四ミーティング]
城彰二(サッカー解説者)<後編>「フランス杯後に受けたカズからの電話」

2013年05月24日(金) スポーツコミュニケーションズ

重すぎたエースの重圧

二宮: 悲願のW杯へ向けて、日本はスイスで直前合宿を行いました。そこで、カズ、北澤豪、市川大祐が本大会のメンバーから外されたことは、大きな衝撃を与えました。
: 事前に必ず3名はメンバーから外れることはわかっていたので、岡野さん、僕、市川、最年少の小野(伸二)あたりが、落選するんじゃないかという話をみんなでしていたんです。それが午前中の練習が終わって、選手は宿舎に戻って、昼食を食べるために集まったんですが、カズさんと北澤さんが来ない。「どうしたんだ……もしかして、外れたんじゃないか」とその場がざわつき始めた。1時間ぐらい遅れて岡田さんがきて「実はカズ、北澤、市川が23人から外れることを発表した。カズと北澤は“それならば帰る”ということでみんなによろしく伝えてくれということだ」と話しました。チームを支えていた選手が外れたので、みんな衝撃を受けて、少し混乱していましたね。

二宮: 特にカズが落選したことはショックだったでしょうね。
: みんな黙ってしまって、その話題に一言も触れずに部屋に戻った記憶があります。やはり、精神的支柱はカズさんでしたからね。僕もカズさんに憧れて、代表に入りたいと思っていました。その柱をとられてしまったので、チーム全体がものすごいプレッシャーを逆に感じてしまった……。僕は寝れないし、食事もとれないほど精神的に追い込まれていましたね。

二宮: 岡田さんがメディアに「FWの柱は城だ」と明言したことも影響したのでは?
: 正直に言えば、そうですね。僕は岡田さんから直接「柱だ」「エースだ」と言われてはいないんです。それがメディアを通して「監督がエースと言っていた。だから頑張ってくれ」と伝えられた。、もう、プレッシャーがどんどん膨れ上がっていきました。今、考えれば、カズさんというエースがいなくなったことは、最大のチャンスだった。ただ、当時は若さもあり、僕は重圧に耐えきれませんでした。

二宮: 3戦全敗で帰国した時、ファンから“戦犯”と見なされ、空港で水をかけられるハプニングもありました。
: 自分のなかでは、日本はそこまで熱があるとは思っていなかったので、余計に驚きました。ただ、それをテレビで見たカズさんがすぐに電話をくれたんです。「城、よかったな。国民は認めたんだよ。オマエを日本のエースとして」「オレなんてパイプイスが飛んできたり、生卵投げられたり、いろんなことされているよ。だから、これがエースとして戦わなきゃいけないプレッシャーだよ」と教えてくれたんです。

二宮: さすがキング・カズですね。
: 「うわ、やっぱりこの人はすごいな」と思いました。だから、水をかけられたり、バッシングも受けたりしてある意味、そこで「ああ、もっと上を目指さないといけない」と気づかされましたね。あのプレッシャーに勝てなかった自分はプロとして残念ですけど、経験できたのは本当に大きかったと思いますね。

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