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ヤマダ電機(利益6割減)のドン(山田昇会長)「全役員降格で社長復帰」は英断か
3年前に直撃した時は饒舌だった山田氏も、今回ばかりは「発表した通りだ」と、不愛想にガレージのシャッターを閉めた(5月11日)

 家電量販最大手「ヤマダ電機」の '13年3月期決算は、営業利益、最終利益とも前年同期比61・9%減、2期連続の減収となった。この大打撃に、山田昇CEO兼会長(70)は、6月27日付で甥の一宮忠男社長(57)を副社長に降格して自分が社長に返り咲くばかりか、全取締役を降格させる人事を発表した。この難局の舵取りは、自分しかできないという意思表示だろうが、そもそもこの窮地を招いたのは、山田氏本人ではないかと、経済ジャーナリストの有森隆氏は指摘する。

「ヤマダ電機の役員会は、山田会長の超ワンマン体制ゆえ、役員たちが萎縮して発言できない雰囲気があります。よい例が中国進出です。尖閣諸島問題による日本製品不買運動などで経営は厳しかったのに、3店目になる南京店をオープンし、たった1年しか経っていないこの5月末に閉店します。結局、誰も撤退を言い出せず、会長が『もう、あかんな』と判断して、ようやく閉鎖できたわけです。そもそも役員全員、自分が引き上げた人たちですから、降格するのも即決です」

 家電エコポイント制度の終了で家電市場がシュリンクすると見込み、山田氏が取った策は、(1)中国進出、(2)リフォーム会社を買収し、増改築の際に全家電製品をヤマダから入れさせる、(3)M&Aによる販路の拡大―といったところだ。だが、「山田会長の狙いはすべて失敗して三重苦になった」と、『ヤマダ電機の暴走』(草思社)を書いたノンフィクション作家の立石泰則氏も評価は厳しい。

「(1)についてですが、中国で支店の設置が最初に認められたのは銀行で、いちばん情報を持っているのに、山田さんは大昔にカネを借りられなかった恨みで毛嫌いし、資金を株式市場から調達しています。証券会社は現地でビジネスをやっていないから、ヤマダは中国政府との付き合い方など、具体的なアドバイスを受けられませんでした。また、家電量販店の中にリフォームコーナーを設けても、商品の金額の桁が違うから客層が違い、(2)も効果は薄い。家電を売るのは基本的に〝待ち〟ですが、リフォームは積極的に営業を〝仕掛ける〟ビジネスです。ヤマダの幹部にもそうした違いを理解している人はいるはずですが、ワンマン会長の耳に入れるのは至難の業でしょう」