Wharton Japan Report

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ウォートンスクールの特別レポート
「安倍政権は本当に日本を救えるのか」

2013年05月24日(金)
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はじめに
経済の思い切った「リセット」を試みる日本

 日本は、決して津波や福島第一原発の事故、グローバル金融危機だけから回復しようとしているのではない。1990年代の国内金融危機と、その後20年に及ぶ経済の活力喪失から立ち直ろうと試みているのである。

 1920年代から1930年代前半にかけても、日本は今と同じような時期を迎えていた。首都を襲った大震災、そして世界的な金融崩壊に引きずり込 まれたのである。今日と同様、当時も日本はデフレと経済の停滞、そして輸出を阻害する円高に悩まされていた。だが1931年、高橋是清蔵相が金融政策を緩 和し、円安を誘導し、財政支出を増加させた。経済は急速に回復に向かったのである。

 今日、安倍晋三首相も同じ手段をとりつつある。ポジティブな結果が出るかどうかはまだ分からない。彼の政策はハイパーインフレと財政の崩壊を招く リスクがあるという批判がある一方で、支持者は経済の沈滞を打破するには大胆な行動が必要だと主張する。誰もが同意するのは、高齢化や人口減少、競争力の 低下、「ゾンビ」企業(破綻しているにもかかわらず政府からの補助金で支えられている企業)、過剰規制といった長期的な問題に対処する構造改革が伴わない 限り、安倍首相の政策の効果は短命に終わるだろうという点だ。

 このスペシャルレポートは、通貨市場への影響も含めて、新たな経済政策の意味に注目するものである。同時に、変化が必要とされている二つの問題領域、金融と高等教育についても分析を行う。

 

Part 1
為替をめぐるグローバルな対立 ~待ち受けるのは最悪の事態か、それとも万人にとっての利益か

多くの者に とって、円安をめざす日本の最近の動きは、グローバルな通貨戦争に着火する火花のように思われた。20世紀に世界が大恐慌に沈んだのは、一連の通貨切り下 げ競争が一因だったのだ。今までのところ、各国中央銀行関係者は、為替を政治問題化しようという衝動に抵抗している。だが一部の専門家によれば、為替をめ ぐるイザコザは危険であり監視が必要だが、市場における均衡状態を生み出すには必要でもあり、グローバルな景気回復を助けることになるという。  本文はこちら

Part 2
グローバル化に及び腰の日本の金融機関

近年まで、とことん保守的なアプローチとバラバラな企業目標のせいで、日本の金融機関が海外への事業拡張を成功させることは難しかった。日本の銀行、保険会社、証券会社は、真のグローバル企業になれるのだろうか。  本文はこちら

Part 3
日本の「アベノミクス」は、経済再生に向けた土壇場の賭け

安倍晋三首 相の「リフレ」経済政策、つまり需要増大を刺激し消費支出と企業投資の増大という好循環を生み出すという取り組みが本当に成功するかどうか、エコノミスト たちの見解は分かれている。専門家のあいだには、日本が持続可能な成長を実現するには、さらに深刻なリセッションに耐え抜くしかないとする考え方もある。 そのためには、減少と高齢化が進む人口構成、産業の競争力低下といった長期的な問題に対処する構造改革を行わざるをえないかもしれない。だが、安倍首相の イニシアチブが成功すると見る慎重な楽観派も存在する。  本文はこちら

Part 4
供給過剰と緩い基準が、日本の高等教育制度を圧迫する

不況が続く 日本経済が悪影響を及ぼしているのは、企業活動や終身雇用制度にとどまらない。大学もまた、深刻な打撃を受けている。多くの大学にとって、学生数の不足は 経営破綻を意味する。さらに、もっと広い意味で、日本の高等教育制度は、柔軟性を欠く典型的な官僚体質のせいで、学生や、そこで働く職員などにとっても、 無益なものと成り果てている。  〈本文はこちら

 


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