ドイツ
アバクロCEOの差別的な発言に猛抗議するYouTube動画の、どっちもどっちなばかばかしさ
〔PHOTO〕gettyimages

 「どこの学校にも恰好が良くて人気のある子と、そうでない子がいる。わが社の求めている客層は恰好の良い子だ。多くの子供たちはこのグループに入れない。排他的だって? もちろん!」

 こう言ってのけたのは、アバクロと呼ばれる若者の服飾ブランドメーカー、アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch) のCEOマイク・ジェフリーズであった。だから、アバクロにはサイズがLまでしかない。デブには着てほしくないということだ。

 それに怒ったアメリカ人の若者、グレゴリー・カーバーが古着屋でアバクロ製品を買い込み、ロサンジェルスのホームレスのメッカで配った。ホームレスと言えば、アバクロ社にとっては、自分たちの製品を一番着てほしくない人々だろう。カーバーのこの抗議活動は5月13日にユーチューブにアップされ、4日間で視聴者は60万人を超えた。

 フィルムの冒頭では、CEOジェフリーズの問題発言が文字入りで流れる。そこに彼の写真も出るのだが、"容姿の良い人だけにしか着てほしくない"と言っているその本人の容姿があまりにも醜いので、見た人はずっこけるというか、呆れるというか・・・。よくもこんな写真を見つけてきたものだ。

背の高い筋肉隆々のドア・ボーイが上半身裸で・・・

 この映像の製作者カーバーは、自分や友達の洋服ダンスにアバクロの服があったら、ホームレスに寄付しようとアピールし、最後は、「アバクロンビー&フィッチ社と共に、このブランドをホームレスのためのナンバーワンにしよう」と結ぶ。アイデアとしては、確かに面白いので、この映像が大ヒットしているのはよくわかる。

 アバクロという会社は元々、客や店員の容姿を異常に重視することで有名だ。そのために様々な非難も浴びている。白人系のアメリカ人を優先的に雇用するとか、容姿抜群の店員を揃えるといった批判もあれば、客や従業員を差別したかどで訴えられていることも過去に何度もある。

 2009年12月、銀座で日本店の第1号が開店したが、そのとき、ちょうど長女が交換留学で日本におり、友達の誘いでしばらくここでアルバイトをした。彼女は、アルバイト学生の使い方があまりにも横暴であると言って、すぐに辞めてしまったが、そのあいだ、私はいろいろな話を聞いた。

 なかでも一番奇妙だと思ったのは、ドア・ボーイの話。日本人他、白黒さまざまな肌の色の背の高い筋肉隆々の男が、各階の入り口に上半身裸で立っている。その横で女性の従業員がポラロイドを構え、お客と男との記念写真を撮ってくれる。「若い女の子たちが喜ぶから?」と訊いたら、長女は言ったものだ。

 「一番はしゃいでいるのは、ママみたいな中年のおばさんたちよ。これを見るために来るらしくて、一緒に写った写真をもらってみんな喜んでいるの」

 ちょっとショックだった。韓流おばさんたちの浮気? しかし、そういえばアバクロの宣伝には、男たちが鍛え抜かれた上半身を晒している写真が結構多い。ちなみに、エレべーター・ボーイ(!)は、ジャケットを羽織ってはいるが、前をはだけて胸板を見せていたとか。変なブティックだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら