「風俗利用発言」で米国からもきっぱり拒否された橋下氏。職業選択の自由を盾にした詭弁は性と人権と沖縄県民に対する明らかな侮辱
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」文化放送「くにまるジャパン」発言録より

前の番組のパーソナリティ福井謙二さんから「今日はカレーの話を聞きたい!」とリクエストされ------

邦丸: ウチの女房がつくるカレーは、ひき肉が入っていることが多いですね。そのひき肉さえ入ってないときがあります。

伊藤: じゃ、何が入っているんですか?

邦丸: 野菜だけ。

伊藤: 奥様は邦丸さんの健康を考えていらっしゃるんですね。

(略)

佐藤: うらやましいですね。私はこの体重ですから、わが家はカレー禁止令が出ていまして、カレーに関しては極めて厳しいんですよ。

伊藤: ええーっ。

邦丸: ああ、カレーそのものじゃなくて、ご飯もいっぱい食べちゃうからでしょ。

佐藤: ご飯もいっぱい食べますし、カレーもカツカレーとか、すぐそういうコースになっちゃうんでね。

伊藤: ははー。

佐藤: 私、そういうのを出されると、うらめしそーな顔で下を向いているんで、「アンタのそういう顔を見たくない」と。

(略)

邦丸: 今日の日経新聞に「GDP実質3.5%増 『プチぜいたく』楽しむ」という見出しが出ています。

 1~3月の実質国内総生産(GDP)成長率が年率3.5%と高い伸びを示したのも、個人消費の回復が主因であると。景気が浮揚しているという感じから、少しぜいたくを楽しむ一般消費者が浮かぶということで、「プチぜいたくを楽しむ」ということなんですけど、実態が伴っていないと言いながらも、“気”の問題なんでしょうかね、これ。

佐藤: いや、これは気の問題というよりも、比較的所得の多い人たちがぜいたくを楽しんでいるということで、それで統計数字が上がっているということだと思います。ですからこの記事を見ても、フレンチであるとか、あるいは高級車であるとか、そういうところで消費が伸びているということですからね。

邦丸: 高級車が売れているらしいですね。

佐藤: ですから、平均値が上がるということと、圧倒的多数の人たちの生活がどうなるかということには、若干の乖離がありますからね。特に今、格差が広がっていますから。

伊藤: だって、一般の人はべつにお給料はぜんぜん増えないわけでしょ。

佐藤: だからおもしろいのは、マンションのオーナーチェンジが今、ものすごくたくさん起きているんですよ。地下鉄の駅から5分以内のマンションに限ってのことですけど。価格が3割ぐらい上がっているところがあるんですね。ところが、賃料は上がっていないんですよ。給料が上がっていないから、賃料も上げられないんですね。ということは、これは不自然な上がり方で、要するに投機目的ですよね。

邦丸: なるほどね。

伊藤: ああ、それでオーナーが替わっているんですね。

佐藤: 賃料が上がるんなら、これは理屈がつくわけですよ。ですからその意味において、あまり水を注すようなことは言いたくないんですが、リアルに見た場合は、浮かれていると大変なことになると。

邦丸: なるほどね。みなさん、このままいくわけないよって、うすうす思っているんでは。

佐藤: だから逆に、成功させるためには何をするか。アベノミクス批判、アベノミクスはとんでもないというのではなくて、いくつかの細いナローパス(隘路)があるんだけど、そこをどうやってみんなで抜けていけるかという、前向き、健全な考え方で応援していくということが重要だと思うんですよね。

邦丸: もうイヤですよね、空白の時期はね。少しでもいい兆しがあればね。

佐藤: 悪口とか暗い話は聞きたくない。・・・・・・(以下メルマガでご覧下さい)

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深読みジャパン

邦丸: 今日はこのニュース一本で、この後たっぷり伺っていきたいと思います。

伊藤: 共同通信から。「橋下大阪市長 辞任も発言の撤回も拒否」

 日本維新の会の共同代表を務める大阪市の橋下徹市長は昨日、記者団の質問に答え、従軍慰安婦についての発言などをめぐる自らの進退に関し、「有権者が判断することだ。自分からは降りない」と述べ、辞任を否定しました。在日アメリカ軍に風俗の活用を求めたことについては、「アメリカの意識を見誤った」と釈明する一方、「既に『不適切』と言った。それで十分だ」と述べ、発言の撤回を拒否しました。

 また、風俗活用発言を「不適切」とした日本維新の会国会議員団の見解については、「重く受け止めなければならない」と語りました。橋下氏は今月24日には韓国人の元従軍慰安婦との面会を予定していますが、そこで「僕の問題意識や、なぜこういう発言をしたのかを伝えたい」と述べました。面会はおよそ30分間で報道陣に公開されます。

邦丸: 佐藤さん、この橋下氏の発言に対して、アメリカ政府当局者が非難するコメントを寄せているんですが。

佐藤: 率直に言って、この非難するコメントというのは前代未聞! かつて同盟国の政治家に対して、これだけ激しい非難、ある意味、内政干渉と思われかねないすごい非難をするっていうことはなかったですね。

邦丸: 朝日新聞のデジタル版を引用しますね。日本語訳なんですが、「橋下市長の発言は言語道断で侮辱的なものだ。アメリカが以前に述べているとおり、戦時中、性的な目的で連れて行かれた女性たちに起きたことは、嘆かわしく、明らかに深刻な人権侵害で、重大な問題だ。橋下市長は米国訪問を計画しているそうだが、こうした発言を踏まえると、面会したいと思う人がいるかどうかはわからない」というアメリカ政府当局者のコメント。

佐藤: 特にこの「面会したいと思う人がいるかどうかはわからない」、英語のほうだと“We are not sure that anyone will want to meet with him.”要するに、「誰も会わないと思うよ」ってことですよね。「だから、来ないでください」っていう感じなんですよ。

邦丸: 橋下市長はサンフランシスコを訪れる予定なんですけれど。それにしましても、今回の発言の真意というものが・・・・・・。

佐藤: 本人も真意はわかっていないと思う。いうことがコロコロ変わっているでしょ。

邦丸: 変わってきているんですよね。

佐藤: 彼も変わってきているんだけれども、焦りもある。彼は今までで最大の危機を迎えている。

 この問題というのは、3つに大きく分かれて、3つ目の問題がさらに2つに分かれる。
1番目の問題は歴史認識の問題。実は、この歴史認識の問題からすると、日本政府の基本的な認識と橋下さんの認識はあまり変わらないんです。たとえば、私はどちらかというと論壇では保守派ですよね。慰安婦問題に関して、「従軍慰安婦」という言葉を私は言わないでしょ。

邦丸: はい。

佐藤: 「従軍慰安婦」というカテゴリーはなかったというのが日本政府の調査の結果、明らかになっている。アジア女性基金もそうなんですよ。軍の関与はあるけれど、従軍慰安婦というカテゴリーはないから、それを使わない。それから、人間狩りみたいな狭義の意味での強制性はない。ただし、その場所から逃げられないと言った意味での広義の強制性というのはあるんだと。これはもう確定していることなんですよ。そんなに実態から離れていない。

 だから、そこのところの問題の歴史認識に限定していくならば、橋下さんは政府とそんなに変わらないんじゃないかということで、勝てるんですよ。だから、ここにすべての問題を限定しようとしているんです。

 2番目の問題は、日本独特の風俗産業をどう評価するかということなんです。「風俗」って英語でどう訳します?

邦丸: ・・・・・・? わかんないです。

佐藤: 「sexual industry/セクシャル・インダストリー」と訳されています。

邦丸: セクシャル・インダストリー!

佐藤: 「性産業」です。そうすると、雰囲気としては限りなく売春・買春に近いんです。それで、これはそれに対してどう評価するか。要するに、橋下さんは今、貧困とかいう理由で日本で風俗に行く女性はいない。そういう人は好きで行っているんだと。そこを問題にするのは差別だという議論をしているんです。

 それから、風俗イコール売春ではないと。あと、維新の会の幹部なんかでは、ちょっと飲みにいく飲食店でも風俗営業法に引っかかるから、これも風俗だといって、話をどんどん変えていきますよね。だから、こういった部分で感じるのは何かというと、要するに、どこまでこの人は誠実なのか。言っていることがどこまでマジメなのか。

 それから、欲望を風俗で発散するという発想、これは恐らくご自身がそうなんでしょうね。それだから、みんなもそうだと思っているんですね。

 しかし、これは国際基準で考えて、特にアメリカで考えましょう。リベラルな人、左派の人は、愛を自由恋愛であるべきだと。だから金銭が介在するというのは、これはとんでもない──こういうふうになるわけですね。右派、保守系の人からすると、少なくとも妻帯者、あるいはパートナー、付き合っている人がいる人に関しては、それと別に商業的に性を処理するというのは、パートナーや妻に対する裏切りであると。家庭を壊すことだと。

 だから認められないと。左右両翼が一切、認めてくれないということになるんですよ。
 この彼の風俗、女性、性に対する認識が問われるというのが、2番目の問題。これはかなり面倒臭い議論というか、大変な議論の中に入ってくる。

 日本のなかでも、リスナーの特に女性のみなさんにお伺いしたいんですけれど、やっぱり欲望があるから橋下さんの言うとおりだなと思う人が、どれぐらいいるか。

伊藤: いないですよ。不愉快です。

佐藤: ところが、日本の国益の観点からすると、いちばん大事なのは3番目の問題なの。慰安婦問題というのは歴史認識の問題があると思うんですね。ところが、米軍の司令官に、今の沖縄で、米兵たちのエネルギーが余っているなら、それを風俗で発散するようにと言ったことで、21世紀の日本の沖縄の問題にしちゃったんですよ。

邦丸: 21世紀の沖縄の問題ですか。

佐藤: どういうことかといいますと、「風俗」という名で合法化されている21世紀型の慰安所をつくれと。それによって米兵の性処理をする。こういう形で問題を処理しろと言っているんですね。これは2つ、問題があるんですよ。

 まず、沖縄の側からすると、0.6%の地上面積しかないところに74%の米軍基地があるから、多くのアメリカの軍人が来る。そうすると、人数に比例して事故は起きる、人数に比例して変な人はいるわけですから、被害に遭うことが多い。だから抜本的に、それを県外に移してバランスを取る、沖縄の負担を減らすということじゃなくて、沖縄のなかで地元で処理しろということでしょ。そうすると、軍の基地負担ということをセックスの面も含めて、沖縄が面倒をみろってことですよね。これは侮辱ですよね。・・・・・・(以下メルマガでご覧下さい)

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