インフレ期待で不安定化が懸念される長期金利
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 つい最近まで安定していた長期金利の変動幅が増加している。指標である10年物国債の流通利回りを見ると、4月初旬に一時、0.40%台まで下落したものの、その後は上昇傾向が続いており、5月22日現在、0.80%台の後半まで上がっている。

 長期金利が上昇傾向を示している背景には、日銀のインフレターゲットによってインフレ期待が醸成されつつあることに加えて、景気の先行きに明るさが増していることがある。景気の回復が本格化すると資金需要が盛り上がって、お金のレンタル料である金利水準が上がり易くなるからだ。

 ただ、長期金利が上昇すると、企業が資金を借りる際のコストが上昇することが想定される。それは、企業にとってはマイナスだ。特に、設備投資を検討するときに適用される長期金利が上昇すると、企業にとって設備投資を実行し難い状況になる。

長期金利水準を決める国債市場の需給

 長期金利の水準は、基本的に、金利水準の指標である国債の流通りによって決まる。今まで、わが国経済はデフレ状況が続いていたこともあり、国債市場は主要先進国の中でも最も安定して展開になっていた。

 国債市場の需給を見ると、国内の資金が潤沢であり、企業の借り入れ需要が低迷していたため、大手機関投資家などの国債購入意欲は極めて高かった。その結果、わが国の国債市場は、常に旺盛な需要が存在するマーケットであった。

 需要が安定したため、国債の価格は安定しており、国債の流通利回り=長期金利には下押し圧力がかかり易かった。そうした国債市場の事情が、わが国が多額の借金を抱えているにもかかわらず、主要先進国の中で最も長期金利水準の低い国になっていた主な理由だ。

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