異色対談 古市憲寿 × 島耕作
「島耕作社長、働くのって楽しいですか?」

『島耕作のアジア立志伝』スタート記念!
[左]島耕作氏(テコット代表取締役社長)、[右]古市憲寿氏(社会学者/有限会社ゼント執行役)
 気鋭の社会学者として、軽やかな切り口の若者論や日本人の戦争にまつわる考察を綴ったルポなどで注目を集める古市憲寿氏。今回、島耕作とNHKの完全コラボシリーズ『島耕作のアジア立志伝』のスタートを記念して、古市氏と島耕作の異色対談をお届けします。30万人を超える社員のトップ(65歳)と27歳の社会学者が「働くこと」をテーマに語り合った対談からは、世代を超えた「仕事」に関する一つの回答が導き出されました。
 読むとなんだか前向きに仕事に取り組みたくなる異色対談をどうぞ。

島耕作社長、働くのって楽しいですか?

 日本を代表する電機メーカーであるテコット(旧・初芝電器産業)。その社長である島耕作さんと対談をする機会を持てた。島さんは高度成長期に初芝電産に入社、その後日本経済の成長と共に順調に出世を果たしてきた。

 大企業という世界で40年以上働いてきた島さんは、この本で描いてきた起業家たちとは一見対照的な存在だ。同級生やライバルが次々に自殺したり、中国のマフィアと関係を持ったり、非常に壮絶なサラリーマン人生を、島さんは飄々と生き抜いてきた。

 対談では65歳の島さんに、27歳の僕が「大企業で働くということ」を中心に、社長という立場のこと、団塊の世代が作った遺産など、失礼な質問をたくさんぶつけてみた。さすが社長という感じの真面目な返答が多かったが、ところどころで本音を聞かせてくれた。

社長でも会社をサボりたい時はありますか?

古市 島さんがテコットの社長に就任されて今年で4年目ですね。今日の対談で、僕がまず島さんにお聞きしたいと思うのは、働くのが楽しいかということです。

 いきなり難しい質問ですね。

古市 テコットが大量のリストラをした時、島さんは役員報酬を月給16万8000円にしました。最近では日本でも10億円近い役員報酬をもらう社長もいるのに、島さんの給与は高卒者の初任給と同額です。そんな安月給なのに、社長になってからは今まで以上の激務ですよね。さらに、何かあった時は社長という立場で責任を取らされる。僕からすると、島さんの毎日はただ大変だとしか思えないのですが・・・。

 私にとって「働く」というのは、もはや私一人の問題ではないんです。企業というのはただの利益集団ではなく、社会的な存在です。会社には、テコットの従業員はもちろん、株主等ステイクホルダーの方、下請け、孫請けといった多くの方の人生が関わっています。そういった雇用創出や経済効果などを考えると、社長として働くことにはどうしても社会的な責任が伴ってきます。

*) この対談が収録された古市憲寿氏の著作『僕たちの前途』(講談社刊)は絶賛発売中! 詳細はコチラから http://僕たちの前途.com/