EUの新規制に見る「格付け会社問題」のいま
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格付け業界の透明性向上と競争促進

 EU(欧州連合)の理事会は、5月13日に、主に大手の格付け会社を対象とした新しい規制案を採択した。

 規制の内容は多岐にわたるが、まず、仕組み商品(SFP; Structured Financial Product)では同じ格付け会社を4年以上続けて採用してはいけないことが決まり、この規制は将来、他の金融商品の格付けにも適用される可能性があることが示唆された。

 また、ソブリン格付けについては、その発表回数を年間最大3回までに制限し、詳細な理由説明を義務づけるとともに、格付けの見直し期間を、現在の1年から半年に短縮するよう求めている。

 さらに、格付け会社の故意又は過失によって、債券等の発行者、あるいは投資家が損失を被った場合、損害賠償の訴訟を起こせるようにする規定も盛り込まれている。

 欧州の格付けビジネスは、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービスの米系2社と、欧州系のフィッチ・レイティングスといった大手3社で市場の約95%を占める寡占状態になっているが、これら3社にとって今回の規制案は、なかなか厳しい内容だといえるだろう。

 EU理事会の発表を見ると、新規制の目的には、投資家が外部の格付けを過剰に頼らないようにすること、格付け会社の利益相反を緩和すること、さらに格付け業界の透明性向上と競争促進があげられている。

 サブプライム問題以来、格付け会社の信用は大きく失墜したが、金融市場の格付けに対する過剰な依存はほとんど改まっていない。今回のEU規制も、こうした問題を解決する上で決定的に役に立つようには思えない。

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