奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」
2013年05月18日(土) 奥村 隆

奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第28回】
せっかくの誉め言葉が、なぜ息子の心を激しく掻き乱したのか

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【第27回】はこちらをご覧ください。

父親の問いかけをまったく無視した息子

 息子が小学校で新1年生の世話係をするように命じられ、それがうまく行かなくて精神的に追い込まれてしまったことは、すでに述べた(第27回参照)。僕は急いで学校を訪ね、先生に事情を説明して、世話係を息子だけでなく、他の児童と一緒の何人かのグループにやらせてほしいと頼んだ。

 幸い、僕の頼みは聞き入れられた。そのおかげで、息子の心もとりあえずは落ち着き、登校することを思うたびに襲ってくる吐き気や頭痛も、しばらくは収まっているらしい。妻も僕もひとまずホッと胸をなでおろし、喜んでいた。

 最近、僕の勤務先では、現場で働く人手が少しずつ減らされており、仲間はみんな過労気味だ。今年のゴールデンウィークも、ひょっとしたらすべて出勤する羽目になりそうなところだったが、僕は何とか1日だけ休みを取れることになった。とりあえずはぐっすり寝て、日頃の疲れを取るつもりだった。

 ところが、せっかくのその休日、なんと早朝5時半に起こされてしまった。その時刻に、息子が寝室にやってきて、

 「お父さん、朝だよ。もう起きる時間だよ。起きてよ」

 と言いながら、僕の身体をゆさぶり始めたからである。

 僕はといえば、帰宅したのが午前3時で、歯を磨いてパジャマに着替えると、倒れるように寝込んでしまったのだった。それからわずか2時間あまりしか経っていない。半ば朦朧(もうろう)とした意識のまま、枕元の時計を見て、

 「ん?・・・まだ5時半じゃないか。なんでこんな早く起きるんだ?」

 と聞くと、息子はこう答えた。

 「違うよ。起きたのは5時だよ。僕はこの前、『連休中は5時に目を覚まして、5時半に布団から出ることに決めた』って言ったじゃないか。お父さん、覚えてないの?」

 「ああ、そうだったっけな」

 「そうだよ。それで、僕は5時からの30分間を使って、その日やることを順番に、細かく頭に思い浮かべていくんだよ。それは普通の日も、もう少し遅い時間にやってることだけど」

 「それはわかってるよ。でも、なんでお父さんまでが、こんなに早く一緒に起きなきゃいけないんだ?」

次ページ  それに対する息子の反応に、僕…
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