特別対談 國領二郎×海部美知
「情報(データ)の本質を理解するものだけが世界を制する」<後篇>

國領二郎・慶應大教授(左)とシリコンバレー在住のコンサルタント・海部美知さん(右)

※この対談は4月25日に「ゲキBiz田原チャンネル」で放送されたものを書き起こしたものです。

★記事中、ダイジェスト版の動画もあわせてご覧いただけます。

<前篇>はこちらをご覧ください。

変わりつつあるプライバシー意識

國領 少し机上の空論っぽい話になりますが、今は百年単位ぐらいの大きな社会変化が起きているさなかだと思うんですね。

 私の著書『ソーシャルな資本主義 つながりの経営戦略』でも指摘していますが、大量生産・大量消費の20世紀型のモデル、つまり匿名の取引から、名前と顔の見える取引へと移行してきています。

 プライバシーという考え方も、そもそも19世紀終わりの大量生産時代に出てきた概念で、今まさに岐路に立たされているので、それが脅かされているから、よりいっそう守らなければならないという風潮が片方にあり、もう片方では、時代の流れで仕方ない、たとえば私が普段接する学生たちを見ていると、実はそれほどプライバシーを意識していない。

海部 若い世代の人たちは平気だとアメリカでもいわれています。

 そのあたりの感覚は時代によっても世代によっても、国によっても異なります。

國領 今どきの学生たちにとっては、元カノ、元カレがいるのは当たり前で、履歴が残っていることが前提。

海部 わかったうえでどうするか。だから、個別に対応するしかないのかな、と。

國領 そのあたり、社会としてどれぐらい許容するのか。結婚や就職の差別といった実害の部分をある程度受け入れはじめると、情報が漏れても大丈夫ということになってきますよね。

海部 結婚の話でも、たとえばバツイチって、ひと昔にくらべれば許容されてきていますよね。

 就職の話も同様で、もちろん若い世代の人たちの意識の変化のスピードにくらべれば遅いけれど、徐々に社会も変容してきているのは確かですね。

國領 たとえばフェイスブックでも、学生は就職活動で企業の人たちに見られることをかなり意識している。

海部 それはそうですね。そのあたりは、うまく使い分けていると思います。