スポーツ

「さすらいの野武士」が語る野球人生
そして金本、伊良部、愛犬、秀太事件のこと
下柳剛「まだ、投げてみたい」

2013年05月19日(日) フライデー
friday
愛犬専用にキャンピング仕様に改造したという車。マウンド上とは百八十度異なる柔和な表情を見せてくれた

「 '02年のシーズン終盤は、もうトレードかクビかという雰囲気だった。そこで当時の浅野(啓司)投手コーチが、『次の球団にアピールせないかんから、2回先発しろ』と言ってくれたんです。この2試合は実験みたいなもの。いままでのピッチングを捨て、変化球か、真っ直ぐを待っているのか、じっくり打者の様子をうかがうと、それがハッキリとわかった。それがハマッたところで、阪神とのトレード話が持ち上がり、『チャンスや』とね」

 相手の読みを外してカウントを稼ぎ、ファウルを打たせてストライクを取る。こうして〝のらりくらり〟投法ともいわれた下柳のピッチングスタイルが完成する。

 以降、 '05年には最多勝投手に輝くなど、阪神の勝ち頭としてその存在感を発揮した。曰く、「本当に調子のいいときは、一球投げたら打者が何を待っているのかがわかった」というほどに。

 やはり下柳といえば、マウンドに上がれば、誰よりもアツくなる激情家の一面が印象的だ。打たせて取る配球にこだわる男だけに、それを妨害されるケースでは一気に噴火することもあった。味方のエラーにグラブを叩きつけたいわゆる「秀太事件」だ。 '07 年10月1日の対横浜。阪神にとっては勝てばCS出場が決まる、下柳にとっても2ケタ勝利がかかった大事なゲームだった。

「ショートのレギュラーだった鳥谷(敬)がケガをして、この日のスタメンを聞いたら(一軍に昇格したばかりの)秀太……その時点で『なんでー?』ですよ。カネ(金本知憲・45)なんか、ベンチのホワイトボードに『秀太最終テスト』なんてイタズラ書きしてましたから(笑)。

 あのときは俺が四球を出してしまったので、併殺を取ろうと思って二塁ゴロを打たしたら、ベースカバーに入った秀太の足が離れて一、二塁。次にショートゴロを打たしたら秀太がグラブに当ててハジく。『エラーした秀太が併殺を取ればモヤモヤもなくなるやろう。絶対ショートゴロで終わらせたろ』と配球してまたショートゴロを打たしたら、今度は大事にいきすぎて二塁への送球が遅くてゲッツー取れず。それでさすがに『何しとんじゃ、コラァ!』ってね。あれ以来、俺、いっつも怒ってるイメージですよね」

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