スポーツ

「さすらいの野武士」が語る野球人生
そして金本、伊良部、愛犬、秀太事件のこと
下柳剛「まだ、投げてみたい」

2013年05月19日(日) フライデー
friday
愛犬ラガーとバドとともに。神戸市内にある下柳お気に入りのレストランの前で〔PHOTO〕前田博史 撮影協力/feel dining cafe & sea

取材・文/渡辺勘郎

 ダイエー、日本ハム、阪神、楽天を渡り歩いて22年。野武士のように打者を打ち取る昔気質の投手がユニフォームを脱いだ。現役時代は黙して語らず。そんな無骨な男が明かす野球人生―。

 22年間の現役生活を終えたばかりの下柳剛(44)は、今シーズンから大阪・朝日放送の解説者として野球とかかわっている。寡黙なはずのこの男が、テレビで喋れるのか―。そんなプロ野球ファンの不安を一蹴するように、彼の解説ぶりは筋が通っていると早くも好評だ。結果論で語る解説者が目立つなか、下柳は独特のこだわりを貫いている。

「解説は難しい仕事。選手たちから『結果でばかり言いやがって』という声をたくさん聞いていますから、結果に対してどうのこうの言う解説はしたくない。『こういう気持ちでこの球を投げたんじゃないですか?』『結果はこうなると思います』という解説をしたいんですが、解説デビューの試合では予想とは逆のことばかり……9回の最後の最後で当たりましたが、アナウンサーは大笑いでしたよ」

 そう相好を崩す下柳はワイルドな風貌とは裏腹に、配球を一球一球考えて頭が痛くなるというほどの細かな神経の持ち主だ。だからこそ、こんな本音も。

「解説をしていてつい突っ込みたくなることもありますね。この間、阪神のルーキー・藤浪(晋太郎)君が投げているとき、真っ直ぐをまったく打たれていないのに、7番打者に変化球を2球続けて初ヒットを打たれたときは、思わず『意味がわからん』と言ってしまいました」

 もともとは150kmの直球で押すタイプ。しかし '03年、阪神に移籍してからの下柳のピッチングは誰よりも緻密に計算されたものだった。狙い通りに打たせて取る。技巧派に変わったターニングポイントは、日本ハム時代に遡る。

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