人身売買が横行していては「美しい国」とはいえない!橋下発言が浮き彫りにした日本に潜む女性やアジアの人々に対する醜い差別

 維新の会の橋下徹さんの慰安婦や売春についての発言が物議をよんでいます。私自身、もちろんこれらの発言についてまったく支持しないし、感心しないと思っているのですが、そのことに関しての釈明ツイートで橋下さんは以下の様な話をツイートしていました。

「批判者は、風俗業=売春業=性行為と短絡的に考えているね。日本人は賢いから、性行為に至る前のところで、知恵をこらしたサービスの提供を法律の範囲でやっているよ。そして今の日本の現状からすれば、貧困からそこで働かざるを得ないと言う女性はほぼ皆無。皆自由意思だ。だから積極活用すれば良い。」
https://twitter.com/t_ishin/status/334197169198354432

人身売買の受け入れ地になっている日本

 さて、話をかなり変えます。日本は人身売買に対して国連から何度も注意を受けている国であるということをみなさん御存知ですか。アメリカ国務省の発行する「人身取引年次報告書」でも日本は、2012年6月現在まで11年連続で「人身取引根絶の最低基準を満たさない国」に位置づけられています。これは、カンボジアや南アフリカと同じレベルとなり、先進国では最低ランクです。

 米国に本部を置くポラリスプロジェクトというNGOでも指摘をされており、「人身取引年次報告書」の邦訳は以下にあります。
http://www.polarisproject.jp/images/stories/nws/2012/TIP2012JP.pdf

 ショッキングですが、東南アジアの主に女性がその生まれ故郷の村から売られてバンコクなどの都市に移り、そこの人身売買市場を介し、多くの人が日本に「売られて」いきます。それには日本の不法組織も介在をしているわけです。

 日本は本件について最低ランクだと指摘をされていますが、実際に何も動いていないわけではありません。警察も国際犯罪対策の一環として、この人身売買取引の根絶は目標にしているし、その担当官は私自身存じ上げますが、極めて優秀です。またJICAからバンコクに人身売買の根絶のために派遣されている専門家もいます。

 しかし、日本がそのような人身売買の受け入れ地になっていることは日本国民の多くは知らされていないし、メディアも書きません。そしてその多くは性風俗に従事しているわけです。心からのぞんで来ている人が非常に少ないのは明らかです。しかし残念ながら、日本ではそこに犯罪があるという認識が薄いので、検挙や補導の例も少なく、実際には野放しになっている現状があると聞いています。

 橋下さんのツイートは「今の日本の現状からすれば」と書いてあるので、「今の日本人の女性」と受け止めればいいのでしょうが、少なくとも性風俗従事者にそのようにのぞまない形で日本に来ている人たちが少なくないということもまずは意識する必要があるでしょう。さらに、本当に日本人の女性で貧困由来の性風俗に従事する女性が本当に皆無なのでしょうか。そこも実態からすると、かなり疑問があると思えます。

 私がここで言いたいのは、日本人自身に根深い差別意識や無意味な選民思想がないのか、ということです。これは橋下さんに限らず、本件に関するツイートやFBの書き込みなどを見ると、女性の性の対象としての側面を強調しているような考え方や女性の誇りや基本的人権を無視しているような発言が多く甚だ暗い気持ちになっています。女性、アジア人などがそういう差別の対象になりやすいようです。

 アベノミクスにおける第3の矢は成長戦略で、その中でも大きな項目になっているのは女性の活躍を促すことです。そして私はそのことに大賛成です。日本の女性の社会進出は世界でも非常に遅れているし、むしろそこは日本の含み資産でもあるわけです。しかし、今回の問題をきっかけに私がツイートやFBでみたのは、橋下氏の発言以上に、一般的な日本人の男性の中に女性やアジア地域の人々に対するおぞましい蔑視があるということです。それをいちいち取り上げません。もちろん私は多くの人は男女の尊厳や基本的人権を大切にしていると信じています。

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