ブルーバックス
『呼吸の極意』
心身を整える絶妙なしくみ
永田晟=著

メニューページはこちら

呼吸で体はここまで変わる!
実践法をイラスト図解!
なぜ呼吸のしかたが健康に深く関わっているのか?

 息を吸って吐くという呼吸運動は、自律神経系を介してじつは内臓の働きや血圧などに大きく影響を与えています。呼吸と健康の関係を科学的に解き明かし、さらに心身のバランスをベストな状態へと導く究極の呼吸法を紹介します。

はじめに

 ふだん、私たちは当たり前のように息をしているので、それを「呼吸運動」として意識的に考えることはほとんどありません。一方で、平均寿命が80歳を超える今日、健康な体で長生きしたい、という願いはますます高まっています。じつはこの健康づくり、健康維持に、呼吸が深く関わっています。内臓の働きを整えたり、血圧が高すぎないように抑えたり、メ夕ボや老化を防いだり、ストレスを解消したりといったことすべてに、呼吸が影響しているのです。

 息を吸い、吐くことは生命維持のために反射的に行われています。反射的とはつまり、無意識のうちに自然に行われる、ということです。この呼吸運動を逆に意識的にとらえ、心身のコントロールに用いようというのが本書のテーマです。しかし、じつはこうした考え方は昔からありました。気功、ヨーガ、座禅、瞑想、自律訓練法などがそれで、伝統医学の一翼をになっています。

 本書では、こうした伝統的な呼吸法も含め、呼吸のしかたによって身体づくりと健康状態が左右されることを科学的に示しました。呼吸と健康を結びつける鍵は2つあって、ひとつは自律神経系、もうひとつは有酸素運動です。

 自律神経系は心身の状態をコントロールする神経系で、交感神経と副交感神経からなります。呼吸をする際、息を吐くことに意識を集中してその時間を長くしつつ、腹式呼吸によって横隔膜を上下させることで副交感神経が活発に働くようになります。これが健康づくりの極意であり、体調を整える方法です。

 有酸素運動というと、マラソンなどを思い浮かべるかもしれませんが、ゆっくりとした体操から激しいスポーツまで、酸素を取り入れて燃焼させる動作はすべて有酸素運動です。有酸素運動は健康維持にたいへん有効ですが、心拍数が上がりすぎるようなきつめの運動は、活性酸素を発生させ、かえって身体に悪い影響を与えるためすすめられません。一方で、呼吸に重点をおいたゆったりとした運動でも、有酸素運動として高い効果が得られることが実証されています。