2013.05.23(Thu)

西郷さんは、何か問われたとき「そいでよか」と返した。自主性を重んじる精神を私もそこから学んでいたのかもしれません。

グンゼ 児玉 和

週刊現代
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肌着メーカーとして知られるグンゼ。ところが同社は現在、ノートパソコン用のタッチパネルや、手術の時に使う縫合糸、人工皮膚なども製造し、それぞれが高いシェアを誇る。どんな人物が率い、どんな企業文化からこの実績が生まれたのか。NHKの「のど自慢」を見るのが好きという庶民派社長・児玉和氏(64歳)に聞いた。

西郷さんは、何か問われたとき「そいでよか」と返した。 自主性を重んじる精神を私もそこから学んでいたのかもしれません。こだま・のどか/'48年、鹿児島県生まれ。'72年、大阪府立大学経済学部を卒業し、同年、グンゼへ入社。'89年、アメリカELTECHへ出向、'06年に取締役に就任し、経営戦略部長、人財開発部長に。'08年からは常務兼常務執行役員を務め、'12年6月から現職。大の読書家で、休日は本を読んだり、グンゼスポーツクラブで汗を流す

郡是

 当社の創業時の社名は「郡是製絲」でした。国是、社是と言うように、当社の創業地、京都の何鹿郡(現在の京都府綾部市)の地場産業を郡を挙げて振興していこう、それが「郡の方針」、「郡是」だったのです。

縦糸と横糸

 会社は織物と同じように、縦糸と横糸がしっかり織られて、初めて長続きするものと思っています。縦糸は「社会の役に立つ」「良いものを作る」といった「創業の精神」。横糸は、「時代時代のニーズに合わせて行う事業」です。

 当社は生糸の製造でスタートしましたが、「それだけでは経営が安定しない」と靴下や肌着などを作り始めました。そして昭和30年代、靴下のパッケージの内製化を狙ってプラスチックフィルムの研究を始め、付加価値を付けようと、昭和60年頃、タッチパネルにも使えるフィルムを開発したんです。

 さらには、そのプラスチックの研究が体内で溶ける材料の開発に結びつき、繊維の技術を応用して手術用の縫合糸にも使われるようになった。このように、時代を超える縦糸と、その時代に必要な横糸を意識した経営が、事業の継続に欠かせないと考えます。

学生寮 大阪府立大学の学生寮をバックに仲間と撮影した記念写真。左から2人目が児玉氏。学生だった当時、児玉氏は「いつもおなかをすかせていた」そう

段取り上手

 9人兄弟の末っ子、八男です。毎日が生存競争。食事だって闘いです。すぐ食べないと食べたいものがなくなってしまう。そこでまずは何を食べるかパパッと優先順位を付け、すごい速さでとりかからなければならない。今想えば、いずれも仕事に生きています。

薩摩隼人

 鹿児島県出身です。私の故郷は、まだ鹿児島が「薩摩」だったころの名残りをとどめていました。その一つが「郷中教育」。学校が終わると神社などに集まり、相撲をとったりして、皆で遊ぶのです。そのうち「年長者を敬う」「細かいことは言わず大きく構える」といった気風が身に付いてきます。尊敬する人物は、西郷隆盛や大山巌。度量の大きさに惹かれますね。

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