現代の投資と企業経営に通じるもの【前編】
谷家衛「小さな銃弾をたくさん撃ってから、大砲を発射しよう」

生きていく上で大原則となる5つの指針

谷家衛さん

 合計で考えると、日本の個人はこれまで資産の運用が上手でした。

 「保守的で洗練されていない」と言われながらも、資産の大半を現金で所持してきました。個人は、全体としてはバブル時には土地を売っていましたし、株取引もほとんどしていませんでしたから、バブル崩壊による株価下落の影響も最小限でした。

 デフレの時代には、投資などをせず、現金を持っていることが一番賢い資産管理方法だったのです。

 しかし、政府が本腰を入れてデフレからの脱却を目指す時代となった今は違います。これまでのように、何もしないでいることは、最良の資産管理方法ではなくなります。

 日本銀行の黒田東彦総裁は、2%の物価上昇を目標にしています。これが達成されるならば、個人は、この2%分を何らかの形で、今の資産に上積みできるような行動を取らなくてはなりません。

 何もしなければ、2%分、貧しくなるだけです。アベノミクスは、この点でも、我々の生活に大きな影響を与えるのです。

 では、どのような対策を講じるべきでしょうか。

 ウォーレン・バフェットは、経営者には「自分は投資家だから良い経営ができる」と、投資家には「自分は経営者だから良い投資ができる」と言うそうです。

 今回は、これまで多くの投資をやってきて、私なりに「投資と経営に通じる」と思うことについて述べてみたいと思います。

 今後の時代を生きていく上で、私は、以下の5つの指針が大きな原則になると考えています。

①RESILIENCE instead of Strength (強さの代わりに、弾力性を)
②RISK instead of Safety (安全の代わりに、リスクを)
③COMPASS instead of Maps (地図の代わりに、コンパスを)
④PRACTICE instead of Theory (理論の代わりに、実践を)
⑤CROWDS instead of Experts (専門家の代わりに、クラウドを)

 実はこれは、東京大学名誉教授の黒川清さんから「マサチューセッツ工科大学メディアラボの伊藤穰一所長がこういうことをおっしゃっていますよ」と教えていただいた内容のうち、特に強く共感できる部分を抜粋したものです。