楊潔篪氏との"重要な会談"で国益を大きく損ねた川口順子議員の愚

 川口順子参議院議員が、国会の許可無く中国訪問日程を延長したため、野党から解任決議が出され、5月9日の本会議で可決されたことは周知の事実である。

 国会のルールとして、委員長は国会期間中、院に派遣されるなど、特殊な事情がないかぎり、海外に行かないことになっている。しかも、自らが4月25日の環境委員会を招集しているのである。それなのに、中国滞在を延ばして委員会を開かないなどとは、言語道断である。

 川口氏は、中国要人との会見のためであり、自分で招集した環境委員会に出るよりも、国益のためになったと反論し、自民党もその主張を支持した。また、日本の主要紙も、中国要人との「会談」は重要だと、あたかも自民党の機関紙であるかのように擁護している。

 しかし、川口氏や自民党の主張には無理があるし、真実の解明に必要なことには口をつぐんだままである。私は、9日の予算委員会で、真実を明らかにするために、外務省に対して資料請求をしたが、その回答が一部もたらされたので、紹介する。実のところ、川口氏が中国要人と「会談」したなどとは、恥ずかしくて言えた義理ではないのである。

北京特派員が何も記事を書かない「重要な会談」

 私は、このコラムや自分のブログ(画像つき)でも紹介したように、4月1日に北京で、元外相、元国務委員の唐家璇中日友好協会会長と1時間半にわたり、バイで会談した。また、その他要人とも会談したり、清華大学で記念講演をしたりして、行き詰まった日中関係を打開すべく努力した。それは、日本でも中国でも報道されたし、写真なども多く残っている。

 また、「大きな国益」に関わる議論だったので、帰国後、首相官邸に行き、菅官房長官に報告したし、参議院の予算委員会でも、その会談に言及しながら、安倍総理に質問した。

 一月前の経験から、私には、今の中国政府や要人の考え方や、日本の政治家に対する対応のしかたなどがよく分かる。また、北京でお世話になった木寺大使とは古い付き合いである。私は、若い頃、外務省のお手伝いをしていたこともあり、日本の外交官には友人が多いが、木寺大使とは、いろんな所で一緒に仕事をしている。そのこともあって、北京滞在中は、木寺氏とも率直な意見交換をした。

 解任が決議された後、川口氏は記者会見し、自分は「大きな国益」を守ったのにと自己弁護に終始し、「野党は劣化した」とまで言い切った。新聞記者諸君のほとんどは、外交交渉の当事者になったこともなければ、外交交渉のロジを担当したこともないであろう。だから、川口氏の大言壮語に騙されてしまい、「要人との会談がなぜ悪い」とまで記してしまっているが、川口氏は「大きな国益」を守ったどころか、国益を大きく損なったと言ったほうがよい。

 私は、若い頃は、通訳やノートテーカーの仕事などのロジを手伝い、国会議員や大臣になってからは、自ら外交交渉や海外のカウンターパートとの会談をこなしてきた。その経験から、予算委員会で外務省に川口訪中の実態を尋ねたのである。

 外務省が私に手渡した参考資料には、彼女の訪中の目的は、「アジア平和と和解協議会(APRC)」に出席するためとあるが、これはアジアを中心とする国々の外相経験者など22名を創設メンバーとする集まりである。

 しかし、それは大きな政治的外交的影響力を持つような会議ではなく、存在自体があまり知られていない。私の知る限り、日本のメディアで、今回の北京でのこの会議について記した記事はない。

 さらには、要人、とりわけ楊潔篪国務委員との会談となると、日本大使館から大使か公使、そして通訳、ノートテーカーなどがつくし、メディアも取材に駆けつけるはずである。「重要な会談」などと平気で書く新聞は、自社の北京特派員がその「会談」について何の記事も送ってこないことを、まず不思議と思わねばならない。

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