4K/8Kテレビは成長の起爆剤となるか!? 総務省が目論む官民一体振興策の盲点とは

 アベノミクスの成長戦略の一環として、官民一体で、50~100インチの大画面に地デジ(2K)を凌駕する高精細画像を映すことができる次世代と次々世代の放送(4K、8K)の段階的な普及を目指す---。総務省は今月末に、こんな報告書を正式にとりまとめ、来月のICT成長戦略会議に提出する方針を固めた。

 その第一弾は、CS放送の空きチャンネルを使って、2014年から4Kの試験放送を始めること。試験放送の主体は、新設の「次世代放送推進フォーラム」で、ここに家電メーカーや放送、通信事業者など関係者を参加させて、官民一体で推進するという。同フォーラムの技術開発や機材確保に30億円を超す補助金も供与する考えだ。

 確かに、これまで関係者の高精細放送を巡る足並みはバラバラだった。昨年から地上波で実証実験を始めている韓国勢への対抗策として、ソニーや東芝が4Kの早期普及に強い意欲を見せていたのに対し、地デジ投資が一息付いたばかりの民放は消極的。

 一方、NHKは一足飛びに8Kへのシフトを目指すという具合で、メーカーが本格的に4K対応の受像機を売り出したとしても、見るべきコンテンツが無くて消費者にアピールできなかった3D(立体)テレビの二の舞になりかねないと懸念されていた。

 4K、8Kは、白黒テレビのカラー化やアナログテレビのデジタル化のような変革をテレビにもたらすのか。あるいは、テレビでの振興にとどめず、より広範な応用範囲を想定して育成すべき技術なのか。そんな基本的な疑問の声が根強いのも事実。今週は、その見切り発車の振興策の真贋を検証してみよう。

エコポイントの需要先食いに悲鳴の声

 まず押さえておきたいのが、2011年夏に地上波テレビのデジタル化が完了した後のテレビ市場を取り巻く状況だ。

 通常のテレビ需要は、年間販売台数で1000万程度とされている。ところが、地デジ化の完了前は、エコポイントという政府による購買支援策もあって、ピークの2010年に2518万台が、また翌2011年も1982万台が売れた。そして、この需要の先食いの反動で、2011年後半から市場が氷河期状態に突入していたのだ。

 ようやく回復の兆しがでているものの、パナソニックやソニーが巨額の最終赤字を出し、シャープが外資からの資本調達に奔走した背景のひとつが、このテレビ需要の冷え込みだったことは言うまでもない。関西系を中心に大手家電メーカーのトップが総務省幹部に「(エコポイント廃止の影響が)これほど大きいとは、とても予想できなかった」と窮状を訴えたとか、メガバンクが家電メーカー向け融資や保有株式の減損処理を行ったといった話も絶えなかった。

 一方、日本勢の苦戦を尻目に、韓国は昨年、地上波テレビで4Kの試験放送を開始した。ハリウッドの映画産業も4K技術の本格利用を加速する構えをみせている。 

 10年前からプロジェクターで4K技術を実用化していたとされるソニーなど日本勢は競争力を維持するため、これ以上、指をくわえているわけにはいかないと判断した。

 テレビ受像機メーカー全体で見れば、まだかなり濃淡があるものの、ソニーや東芝はこの夏のボーナス商戦に合わせて本格的な4K対応機を市場に投入するなど、前のめりの姿勢を強めていた。

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