「全くメリットの見えないマイナンバー法案は住基カード同様、税金の無駄使いとなるのか」他

「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」vol057 第1部 日本再生のためにより
古賀 茂明 プロフィール
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またも壮大なる無駄になるのか---マイナンバー法案

全くメリットが見えない

 マイナンバー法案が衆議院を通過した。この法案に関しては、個人情報をまるごと国家が管理することになるとか、情報漏えいでプライバシーが丸裸にされる、などという批判はよく目にする。しかし、この法案には、もっと大きなとんでもない問題があることはあまり知られていない。動画版で触れた内容と重なる部分もあるが、あらためて指摘しておきたい。

 まず、この法律ができても国民にとっての利益は殆どない。マイナンバーができたら、事業経営者や農家や政治家などの脱税をどんどん取り締まることができると思っている方も多いかもしれないが、そういうことはない。

 例えば、脱税を取り締まるために最も有効なのは、銀行の口座を全て名寄せして、それぞれをマイナンバーとリンクする義務を課すことだ。クレジットカードもリンクさせる。そうすれば、脱税のかなりの部分ができなくなる可能性がある。利子・配当所得などと他の所得を合算して総合課税することも容易だ。そうなれば、巨額の利子配当所得を得ながら分離課税で低率の税金を払えばよいという仕組みを変えられる。金持ちにちゃんと税金を払わせることが可能になる。

 しかし、そんなことをされたら事業経営者、医師、政治家といった既得権層はたまらない。だから、プライバシー侵害を心配する人々の不安をあおって、「個人情報を守るために民間とのリンクはさせません」と言って、銀行口座とのリンクをしない口実に使っているのだ。その結果、「クロヨン」とか「トーゴーサン」と言われるような不公平な税金徴収問題はそのまま放置される。もちろん、政治資金の監視にも使えない。

 また、医者の診療報酬チェックにも使えない。レセプトの電子化の義務化さえ医師会の反対でできない状況だから予想されていたことではあるが、過剰投薬のチェックももちろんできない。電子カルテを患者がどこの病院でも自由に持ち歩くなどということも不可能だ。

 さらに、生活保護の不正受給チェックに使うとも言われていたが、そのための所得補足にも使えない。もちろん、将来導入されるであろう給付付税額控除の基礎となる所得把握にも使えない。

 では、いったいどんなメリットがあるのか。引越しの時に市役所に出す書類が1枚で済むということが大きく宣伝されているが、逆にその程度の効果しかないということだ。

住基カードの悲惨な末路

 マイナンバーと言えば思い出すのが、住民基本台帳と住基カードだ。2003年に導入されて以来殆ど使われず、ついに新しいマイナンバー導入とともにお蔵入りとなる。システム構築に400億円近くかけて維持運用経費を毎年150億円程度かけてきた。

 しかし、警察官の職務質問に対して住基カードを見せたら、そんなもの見たことがないと言われて信用してもらえなかったという笑い話があるくらい。カードの普及率はわずか5%。壮大な無駄使いだ。

 今回も同じ轍を踏む可能性が高いと私は見ている。・・・・・・

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