「全くメリットの見えないマイナンバー法案は住基カード同様、税金の無駄使いとなるのか」他
「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」vol057 第1部 日本再生のためにより
【「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」Vol.057 目次】
―第1部― 日本再生のために
 ■1.憲法改正にひた走る安倍政権
 ■2.何故か報道されないオスプレイ降下訓練事故
 ■3.安倍総理訪ロとエネルギー改革
 ■4.またも壮大なる無駄になるのか---マイナンバー法案
―第2部― 読者との対話
―第3部― 古賀さんの日程
―第4部― メルマガ動画版の書き起こし(動画版第1回 2013年3月22日配信分)

憲法改正にひた走る安倍政権

96番のユニフォーム

 5月5日こどもの日、国民栄誉賞に輝いた長嶋茂雄、松井秀喜両氏による始球式が行われた。ピッチャー松井、バッター長島、キャッチャー原辰徳巨人監督と並んだところまでは良かったが、審判役で登場したのが安倍晋三総理。人気取りのパフォーマンスに国民栄誉賞を使うのはどの政権でもあったことだが、最近の安倍総理のやり方はやや度を越している。

 審判なのだから背番号はないはずだが、巨人のユニフォームを着て、その背番号が96というのだから、憲法96条改正のためのキャンペーンであることは、誰の目にも明らかだった。第96代総理だからという言い訳も白々しく響いた。

総理が「押し付け憲法」の改正と叫ぶこと自体が違憲

 憲法改正論議が盛んだ。憲法についてこれほど議論が高まったのは、憲法が制定された直後以来ではないか。しかし、制定時の憲法論議は、かなり草の根的なものであった。今回の憲法論議の特徴は、時の政権から唱えられている改正論だという点だ。

 立憲主義という言葉があるが、一言で言えば、憲法によって国家権力をコントロールするという考え方だ。国民が国家権力の暴走を止め、真に主権者たる国民のために働くようにする仕組みだと考えればよい。基本的人権も平和主義も、国家が国民が望んでもいないのに権利を制限したり、戦争に走ったりすることを止めるために憲法に規定されている。

 憲法98条には、憲法は国の最高法規だと書いてある。だから安倍総理がどう思うかとは関係なく、現在の憲法はあらゆる国の規範の中で一番大事なものだということだ。さらに、99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と、総理を含めた全閣僚、さらに国会議員に対して、この憲法を「尊重し擁護する義務」を課している。極めてわかりやすい条文だ。

 この条文を見て素直に感じるのは、安倍総理や多くの閣僚が現行憲法を、GHQによって押し付けられた憲法であるからこれを大幅に改正することで初めて憲法が国民のものとして取り戻されるのだ、と言っていることへの違和感である。安倍総理の言動は、どう考えても、今の憲法を尊重しているとは言い難い。それどころか、押し付け憲法とレッテルを貼ることにより、その最高規範としての位置づけに対し、意図的に侮辱し、貶める意図をもって発言しているとしか言いようがない。

 一国の総理が、自国の憲法をこれほど辛らつに攻撃するする姿を見て諸外国の人々はどう思うだろうか。日本に対する誇りのかけらもない人なのだなあ、と思ってしまう。

96条改正の意味するところ

 憲法改正の手続きは96条に書いてある。衆参両議院がそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成を得た場合に改正案を国会が発議し、国民投票を実施してその過半数の賛成があれば、改正されることになっている。

 通常の法律よりも改正が難しくなっているのは、憲法が国の最高規範であって、時の政権や国会議員の多数が賛成するからといって、軽々に変更することは国民にとって危険だという発想が根底にあるからであろう。また、法律と同じ手続きにすると、政権が変わるたびに憲法が改正されるということにもなりかねないという配慮もある。

 こうした考え方に立てば、改正をやりやすくするのは、慎重に考えなければならない。国民の過半数がある一時点において賛成したからどんどん改正してよいということにはならないだろう。

 今なぜ改正手続きを変えて、改正をより簡単にできるようにするのか。これは、もちろん、憲法の他の条文を変えたいからである。では、どの条文を変えたいのか。自民党の改憲草案を見ればよくわかる。

憲法9条のことだけがよく報道されているが、実は、それだけでなく、極めて多岐にわたる改正案が出されている。ある意味で、今の憲法を根底から変えてしまいそうな勢いの草案であると言っても良い。・・・・・・