すべては参院選の結果次第!? スーパーリアリスト安部晋三の改憲志向と自公連携の未来やいかに
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 安倍晋三首相の改憲志向(憲法改正の発議要件を定めた96条先行改正)が1999年以来、野党時代の3年間を含めて14年も続いてきた自民党と公明党の連携・連立に終止符を打ちかない可能性を生じさている。

 公明党の支持母体・創価学会(原田稔会長)の大幹部は「池田大作名誉会長が掲げてきた平和憲法護持は、公明党が絶対に絶対に譲れない最後の一線だ。現執行部は何を考えているのだ」と言い放つ。

 また、別の幹部も「我々は『聖教新聞』の読者に説明できないことはできない。安倍さんの最近の保守色鮮明には付いていけない。96条改正前、参院選後の秋の臨時国会で集団的自衛権の解釈変更に踏み込むようであれば、我々は(政権離脱を)決断せざるを得ない。次の衆院選を野党で戦うことも十分考えられる」と言い切った。

 しかし、自民党内を見てみると、96条改正に慎重論を唱える者もいるが、安倍シンパを含め大方が公明党・創価学会の危惧や怒りに高を括っているようだ。7月参院選の結果次第で、改憲勢力の自民党、日本維新の会(共同代表: 石原慎太郎衆院議員、橋下徹大阪市長)、みんなの党(渡辺喜美代表)3党が96条先行改正で合意してしまえば、公明党は取り残されると判断しているからだ。

 現に第1次安倍内閣時に、公明党は教育基本法改正に難色を示したが、最終的に賛成に回った。同党を「下駄の雪」として、最後は付いてくるとの楽観論が幅を利かせているのだ。

長期政権を目論む安倍・麻生ライン

 安倍首相と菅義偉官房長官の2人は橋下・維新を拠り所にしていると、多くの永田町ウォッチャーは見ている。事実、「国民の判断を信じるという点で96条改正。国民に問える環境を整える」と自らのツイッターで発信した橋下氏を、安倍首相は4月9日、官邸に招き、意思確認を行なっている。

 安倍首相は『読売新聞』(4月17日付朝刊)のインタビューに応じて、「橋下氏とは基本的な認識で一致できたと思っています。私はいま58歳、橋下さんは40歳代。96条改正は、世代の差を超えて一致できる点だと思いますね」と語っている。

 つまり、参院選の結果が憲法96条改正の鍵を握っているということである。「自・維・み」の改憲勢力の非改選議席は63議席、参院選で一気に3分の2を確保するためには改選議席の121議席のうち99議席が必要となる。しかしこの議席数は非改選議席の8割を超すものであり、現実には極めて困難な数字だ。換言すれば、公明党の議席数がモノを言う状況が生まれるのだ。

 もともと、自民、公明両党の連携・連立は、自民党内でもハト派、護憲色が強かった旧竹下派(経世会)・旧小渕派(平成研)と池田名誉会長の信任厚かった公明党・創価学会幹部との信頼関係に基づくものだった。具体的には、野中広務元官房長官と藤井富雄元公明党常任顧問、西口良三前創価学会総関西長の信頼関係が、今日の自公政権の基礎を築いたことは間違いない。竹下登、小渕恵三両元首相も支援した。

 が、その後、「経世会支配」の時代は終わり、今や反経世会色の強い安倍首相と盟友の麻生太郎副総理・財務相の2人が安倍長期政権を目論むステージに変わった。

 大型連休最後の日の6日夜、麻生氏は東京・富ヶ谷の安倍私邸を訪問、2人は約2時間かけて都議選・参院選の情勢分析、6月26日が会期末の今国会終盤対応、14年度予算のシーリング・中期財政計画、そして参院選後の内閣改造・党役員人事まで話し合っている。安倍・麻生ラインが政権・国会運営から政局全般まで取り仕切っているのだ。

 麻生氏は、96条改正で前のめりになりすぎないようにと、安倍氏に助言しているとされる。道州制導入手続きを定めた基本法案の今国会への提出はあり得る。だが、96条改正に関しては、参院選の争点にするが改正法案の早期提出までは踏み込まない。国民投票についてクリアすべきハードルは依然として高く、安倍氏は慎重路線に舵を切ったというのだ。

 二皮も三皮も剥けた安倍首相は今やスーパーリアリストである。納得すれば直ちに方針を変える。それでも、公明党・創価学会の苦悩はこれからも続く。

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