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最新ゾロゾロ出てきた衝突被害軽減ブレーキ機能と価格

TEXT/渡辺陽一郎

「ぶつからないクルマ」というキャッチコピーで一世を風靡したスバルのアイサイト。今もスバルはこの衝突軽減ブレーキを企業イメージの中心に据えており、採用車種を着々と増やしている。現在はレガシィ、フォレスター、インプレッサなどに装備されており、なんと新車販売台数のうち約8割がアイサイト搭載車なのだとか。

 しかしそんなスバル販売店で最近ちょっとした問題が起こっているそう。それは、

「衝突安全ブレーキって、安くてもいいんだね?」

 という話。実は先日ダイハツ・ムーヴがマイチェンして衝突軽減ブレーキを装備、そのオプション価格が約5万円で、「アイサイトより安いじゃないか」とスバルディーラーで話題になっているとか。何しろスバルはダイハツからOEMでムーヴの供給を受け、「ステラ」という車名でレガシィと並べて売っている。

 スバル営業マンとしては「いやステラ(ムーヴ)とレガシィの衝突軽減ブレーキは別ものなんですよ」と説明するも、実際問題どこがどう違うのかを説明し、お客さんが理解するのは至難の業だとか。

 各社から続々登場する衝突安全ブレーキはどこがどう違うのか。本企画で研究したい。

日欧主要メーカーはそろって製品化
衝突被害軽減ブレーキの過去、現在、未来

わずか5万円ほどで衝突回避ブレーキ機能を製品化したダイハツに拍手

 クルマにとって恐ろしいのはなんといっても事故。そこで各メーカーはさまざまな事故防止機能を開発しているわけだが、その最先端が衝突回避支援だ。

 今回紹介するのはその代表的な装置、衝突安全ブレーキ。クルマが周囲を検知し、危険と判断したら勝手にブレーキを踏んでくれる。

 前方を検知するセンサーは、近距離は赤外線レーザー、中距離から遠方がミリ波レーダー、アイサイトのようなカメラを使う方式もある。

 赤外線レーザー方式は、ムーヴのスマートアシスト、up!のシティエマージェンシーブレーキなど市街地向けだ。大半が時速30km以下の領域をカバーし、相対速度差が時速20km程度までなら、障害物の手前で完全に停止させることも可能。渋滞時などの軽い衝突を防止する機能としては有効だ。

 その点、ミリ波レーダーは、遠方まで検知が可能だから高い速度域もカバーできる。

 カメラ方式は仕組みが違う。アイサイトのような2個のステレオカメラを備えたタイプは、人間の視覚と同様、画像として対象物の内容や距離を把握する。ミリ波レーダーや赤外線レーザーでは、反射の少ない歩行者、自転車の検知は難しいが、カメラ方式であれば可能だ。

 その半面、カメラ方式は、雨天や霧、夕日がカメラを直射している時などは性能が下がりやすい。これも人間の視覚と同じだが、アイサイトはバージョン2で性能をかなり高めた。

 機能の働きとして、完全に停止できるか否かも気になる。条件は限定的だが、アイサイトなどは、対象物との相対速度差が時速30km以下なら、衝突の回避も可能としている。

 この機能は設定時点にも左右される。以前の国土交通省の技術指針が、「ドライバーの過信を招く」という理由で完全停止を認めなかったからだ。

 装着車の数は最近になって増えつつあり、価格も下がってきた。2010年にレガシィがアイサイトを10・5万円の低価格で設定。各メーカーにいい刺激を与えた。アウトランダーの開発者は「e─アシストはアイサイトを意識して価格を9・5万円に抑えた」と明言する。ムーヴの赤外線レーザーを使った市街地向けの機能は、併用される横滑り防止装置の価格換算額を除けば、わずか2・5万円だ。

 '90年代に日産がエアバッグを積極的に宣伝した時、トヨタは4輪ABSを幅広い車種に装着してCM合戦に発展。安全装備が急速に普及した。「安全を宣伝材料にすべきではない」という意見もあったが、大切なのはユーザーが安全装備の装着を希望し、設定車種も増えること。優れた安全装備を開発したなら、どんどん宣伝してほしい。

搭載車 新型クラウン
機能7×価格1.4=9.8点
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