スゴ本の広場
2013年05月10日(金)

『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』
~第1章「世界を変えるビッグデータ」より一部抜粋~

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2013年最大のキーワード「ビッグデータ」を初めて本格的に論じたベストセラー、待望の翻訳!!
我々の未来の生活、仕事、意識、すべてが「ビッグデータ」によって大きく変わる!


伊藤穰一(MITメディアラボ所長)
「押し寄せる情報の波によって、世の中の捉え方自体が根本から変わろうとしている。この事実をあぶり出すうえで新境地を切り開いたのが、本書『ビッグデータの正体』だ。企業はいかに新たな価値を生み出すことができるのか、人々は物事の認知のあり方をどのように変える必要があるのか---本書は大胆な主張と見事な語り口でその答えをはっきりと示している」

ローレンス・レッシグ(ハーバード大学ロースクール教授、『Free Culture』著者)
「物の見方を大きく変えてしまう本が10年に数冊は登場するが、まさに本書がそれだ。社会はビッグデータがもたらす変化に目を向け始めている。本書はその重要な出発点となる」

 

第1章 世界を変えるビッグデータ
When Data Speaks  データが語り始めるとき

検索データからインフルエンザ流行を予測したグーグル

 新型のインフルエンザ・ウイルスが見つかったのは、2009年のこと。鳥インフルエンザと豚インフルエンザのウイルスが部分的に組み合わさって誕生した新しいH1N1ウイルスは瞬く間に蔓延した。

 数週間後には世界中の公衆衛生当局が恐ろしいパンデミック(世界的大流行)の到来に危機感を募らせた。1918年のスペイン風邪に匹敵する感染被害を警告する専門家もいたほどだ。スペイン風邪といえば、感染者5億人、死者数千万人を出したインフルエンザ。しかも、今回の新型ウイルスの場合、ワクチンもなかった。公衆衛生当局としては、感染の拡大を遅らせるくらいしか手の打ちようがなかったのだ。もっとも、時間稼ぎのためには、肝心のウイルスの居所を突き止めなければならない。

 米国では疾病予防管理センター(CDC)が医療機関に新型インフルエンザ症例の報告を求めた。すでに広がりを見せていたパンデミックの情報が1~2週間遅れで届き始めた。感染患者も、具合が悪いと感じながらも、病院に行くのは数日後になる。しかも、その情報がCDCに届くまでに時間がかかる。おまけにCDCでは、集まったデータを週に1回しか集計していなかった。感染力の強い病気の場合、2週間の遅れは致命的だ。こうした遅れのために、肝心な局面で公衆衛生当局に完全な死角が生まれてしまったのである。 検索データからインフルエンザ流行を予測したグーグル

『ビッグデータの正体』
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 実はH1N1ウイルスがマスコミを賑わす数週間前、グーグルのエンジニア・チームが有力科学誌『ネイチャー』で注目すべき論文を発表していた。世間では話題にもならなかったが、衛生当局者やコンピュータサイエンスの研究者は色めき立った。論文では、グーグルがどのようにして米国での冬のインフルエンザの流行を「予測」し、国内はおろか、地域単位、さらには州単位での流行まで特定してみせたのかが解説されていたのである。

 グーグルが着目したのは、インターネット上での人々の「検索行動」だ。グーグルの場合、全世界で1日に30億件以上の検索が実行されている。それだけ解析に使えるデータが豊富にあった。しかも、グーグルではあらゆる検索内容を長年にわたって蓄積していたことも強力な武器となった。

次ページ  グーグルは、まず米国人が検索…
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