1990年代の韓国の受験体験。限界まで勉強した経験は大人になって役に立つのか?

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol013 読書ノートより

■読書ノート No.34

「中華世界 その求心力と遠心力」 『朝日新聞グローブ』 2013年4月7日

 朝日新聞グローブは、インテリジェンスの観点からも重要なメデイアだ。今後、中国の民族問題が一層深刻になるが、「中華民族」という概念がはらむ問題点について、「民族復興と中華世界」という解説記事で五十嵐倫義記者が的確な指摘をしている。

そもそも「中華民族」は、近代に登場した概念で、強い政治性を帯びている。辛亥革命で満州族支配の清朝を倒した後、中国の人口の大半を占める漢族は、広い国土を維持するためにも、多民族による国づくりを掲げた。日中戦争の中で、諸民族を「中華民族」としてひとくくりにする動きが強まる。中華人民共和国の建国後も同じ流れが続き、現政権は、当局が認定した55の少数民族と漢族をあわせて、「中華民族」と呼んでいる。・・・・・以下略

このテーマについて深く知るための「連読」3冊
・アントニー・D・スミス(高柳先男訳) 『ナショナリズムの生命力』 晶文社 1998年
・渡辺利夫/朱建栄/寺島実郎 『大中華圏――その実像と虚像』 岩波書店 2004年
・Sergei A. Arutyunov, Narody i kurjtury: razvitie i vzaimodeistvie, M.: Nauka, 1989(セルゲイ・A・アルチューノフ 『民族と文化――発展と相互作用』 モスクワ、ナウカ出版所、1989年)

読書ノート No.35

金惠京 『涙と花札――韓流と日流のあいだで』 新潮社 2012年

 著者は、葬儀のときに号泣するが、同時に参列者が花札をしている(しかも花札は李氏朝鮮時代後期に日本から入り、植民地下での同化政策の道具として用いられた)韓国人の行動様式を冒頭で紹介し、日本人との差異について、多面的に論じている。

 韓国人論という趣旨からは若干外れるが、著者がの高校生時代に体験した勉強法が興味深い。 

では、ここで一九九〇年代初めの韓国の一受験生として、私のスケジュールを紹介したい。私は平均的な学生よりは頑張ったほうだと思うのだけど、母親が深夜まで勉強をしていると、部屋の電気を消して「勉強ばかりしてないで、寝なさい」と言いだすような家庭だったので、恐らく男子高校生ならば、もっと激しい(?)勉強をしていた人もいると思う。ただ、他の同級生を見ると、ほとんど同じスケジュールで動いていたので、珍しいものではないだろう。

朝はだいたい五時に起床する。身支度を整えて、高校に向かうのであるが、その際、母親からお弁当を渡される。当時の韓国の中学校や高校はほとんど給食が無かったので、朝・昼・夜の分の弁当を持って行くのが常であった。そして、消化によく、オカズやスープを温かいままで食べられるように日本製の保温弁当箱を使用していたので、それらと勉強道具をリュックサックに詰めると、その姿はまるで冬山登山にでも出かけるかのようだった。中には夜食分を含め、四つの弁当箱を持参する者もいて、彼女たちは一回り大きなリュックを背負っていた。・・・・・・以下略

このテーマについて深く知るための「連読」3冊
・李恢成 『北であれ南であれわが祖国』 河出書房新社 1974年
・鈴木琢磨/佐藤優 『情報力――情報戦を勝ち抜く”知の技法”』 イーストプレス 2008年
・豊田有恒 『韓国の挑戦――日本人が知らない経済急成長の秘密』 祥伝社 1978年
【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.013 目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
 ■分析メモ(No.29)「日露首脳会談に対する評価」
 ■分析メモ(No.30)「イスラームをめぐる猪瀬直樹・東京都知事の発言」
―第2部― 読書ノート
 ■読書ノート(No.33)『宗教について 宗教を侮蔑する教養人のための講話』
 ■読書ノート(No.34)「中華世界 その求心力と遠心力」
 ■読書ノート(No.35)『涙と花札――韓流と日流のあいだで』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(6月上旬まで)