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トヨタ&BMW 日産&ベンツ マツダ&フィアットほか あの提携の行方 日本メーカーは「世界」とうまく付き合っていけるか!?
御大・三本和彦が徹底解析

 皆さんこんにちは、三本和彦です。今回編集部からいただいた話題は「ここ最近提携した自動車メーカーの相性を見てくれ」とのことです。

 どうも近頃どこのメーカーも「グローバリゼーション」ってやつと「選択と集中」というのが流行のようで、世界中に市場を広げるためには技術開発にも金がかかるし、現地でのノウハウや生産・販売手段が必要だ、それを自社で一から育てるよりもすでに持っている会社と組んだほうが得だってんで、多くのメーカーが手を組んで、あれこれ戦略を立てているようです。

 さて、私も先頃81歳になりました。ぼちぼち世界中のメーカーを歩き回るわけにもいかなくなっていますが、それでもアレコレと聞いて回った話をもとに、メーカー同士の相性などを分析してみたいと思います。

環境技術だけでなく共同でスポーツカーの開発を開始i
トヨタ&BMWの提携は?

BMWとトヨタの共同開発は現場レベルでの顔合わせを終え、いよいよ協議がスタートしたとか。デビューはまだ先だがもちろん期待大!

提携内容の分析

 まず最初はトヨタ自動車とBMWの提携ですね。両社の業務提携は、2011年11月に「環境技術で一緒にやろう」というところから始まりました。昨年6月に提携内容を拡大し、今年に入って正式に業務提携を取り結んだかたちになります。

 ややこしいですね(笑)。

 簡単に整理すると、両社は以下の分野でアレコレ一緒にやるようです。

(1)トヨタはBMWから中型車用のクリーンディーゼル技術を受け取る
(2)BMWはトヨタから次世代ハイブリッド技術を受け取る
(3)トヨタはBMWから炭素繊維を使ったボディ軽量化技術を受け取る
(4)燃料電池車については両社で共同開発を進める
(5)両社でスポーツカーを共同開発する

 まあお互いに短所と言われた部分を補って、長所を相手に渡すということです。

 トヨタという会社はもともとあまり提携というのが得意な会社というイメージがありません。傘下に入れてスケールメリットを大きくとって、いつの間にか自分のところの商品を作らせちゃうというのはずいぶんやってきたようですが、対等な関係でお互い協力していいものを作るというのは、近年までほとんど成功例を見ませんでした。一時、GMと組んであれこれクルマを作りましたが、いやまあ二人三脚のつもりがお互い足の引っ張り合いでしたね。

 ところが富士重工と組んで作って昨年発売までこぎつけた86/BRZというのはなかなかいい仕事でした。トヨタと富士重工の長所がうまい具合に重なってできたクルマで、実際どれほど売れるかわかったもんじゃありませんが(笑)出来のほうはなかなかいいですよ。

 あれは資本関係があったからよかったんでしょうな。自動車屋ってのはとにかくワガママな人間が多いですから、どっちが金を出してどこまで口を出すかってのがしっかり決まっていたほうがやりやすいんでしょう。

 BMWとの提携も、富士重工との提携がうまくいったから組んでみようかって話がトントン拍子に進んだのではないかとみています。こっちは富士重と違って資本関係はなく業務提携のみですから、さあお手並み拝見ってところですね。

スポーツカーだけでなく燃料電池車の協業も実施。トヨタは2015年に燃料電池車を市販予定

相性はどうなの?

 まずBMWという会社は大変プライドが高いメーカーです。会社の規模はトヨタのほうが何倍も大きいですが、「それがどうしたの? あぁトヨタさん、安いクルマを作るのが上手な会社だよね」ってなもんで、技術者の連中も「ウチに技術を渡したいっていうなら別に置いていって構わないよ」と考えているでしょう。

 こういう頑固でプライドが高い人間たちとどう付き合えるかがポイントでしょうね。

 多くの人たちは「共同開発のスポーツカー」が気になっているようですが、それが成功するかどうかは、良好な提携関係が結べるかどうかに左右されるでしょうから、一緒に作ってるディーゼル車やハイブリッド車の出来を見れば、将来的な共同開発スポーツカーの出来も見えてくるでしょう。

会見では豊田社長がBMWへのリスペクトを語っていた。いい協力関係を築いてほしい!

 案外BMW側は「カモがネギしょってやってきたと思ったけれど、なんだいネギにしちゃあちょっと少ないな」なんて思っているかもしれません。共同会見の動画を拝見しましたが、豊田章男社長はずいぶんBMWへのリスペクトをストレートに出していましたね。あれはずいぶん連中を気持ちよくしたと思います。あれが先まで見通した戦略だとしたら、たいした経営者だと思いますね。自動車会社の社長の仕事ってのは、まず第一に技術者を気持ちよく仕事させることですから。

 ただ「以前からBMWのスポーツカーに憧れてました」なんて言っちゃうと、自分のところの技術者がヘソを曲げるんじゃないかと心配をしております。

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