毎日フォーラム~毎日新聞社

与党、基本法案の今国会提出で合意
地方制度の大改革 参院選控え自民党内から反対論も【道州制】

2013年05月19日(日) 毎日フォーラム
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 都道府県を廃止し10程度の道と州に再編する道州制導入の基本法案について、自民、公明両党は実務者レベルで今国会に提出することを確認した。安倍晋三首相の強い意向を受けたもので、前向きな日本維新の会とみんなの党に歩み寄り、憲法改正論議とともに参院選に向けた野党分断の思惑も見え隠れする。しかし自民党内には反対論もあり、地方制度の抜本的な改革に関して制度の功罪を含めた国民的な議論が後回しなっている。

 自民党が政権を奪還した昨年12月の衆院選公約で、道州制の基本法を早期に制定して5年以内の制度導入を掲げていた。戦後の統治機構の変革を目指す安倍首相の理念を強く反映したものだ。首相は4月9日の衆院予算委員会で道州制について「地域間格差や地域経済の停滞という課題に対応するために取り組んでいかなくてはならない」と述べ基本法の早期制定に改めて意欲を示した。

 自民、公明両党の道州制に関する立法ワーキングチーム(WТ)は同11日の会合で、「道州制推進基本法案」を今国会に提出することで合意。維新とみんなに協議を呼びかけることも確認した。同法案では、外交や防衛など国の基本政策を除き、内政に関する事務は道州に委譲したうえで、市町村に代わる新たな「基礎自治体」が住民に身近な行政を担うことを柱としている。

 具体的な国と道州、基礎自治体の役割分担や税財政制度、道州の首長と議会議員の選出の在り方など具体的な制度設計は内閣府に設置する「道州国民会議」で3年間かけて議論するとしている。政府は同会議の答申を受けて2年をめどに必要な法整備を行う、と安倍政権の公約に沿っている。

 自民党は野党時代の昨年9月に「道州制基本法案」をまとめていた。中身は大きく変わっていないが、今回のWТの会合で「推進」という言葉が挿入された。公明党が「あくまでも道州制の是非を議論するための法案であり、導入を前提したものではない」と主張したためで、与党内でも温度差があることが浮き彫りになった。

 実は自民党内でも慎重論がある。同党道州制推進本部(今村雅弘本部長)内からも「道州制は遠い先の話だと思っていたら突然降ってきて驚いている」という声が出ているほどだ。「早期の基本法制定を目指す」と国会答弁してきた安倍首相や「現在の機構、システムを変えていかなくてはならない」という菅義偉官房長官ら積極的な官邸サイドとは距離がある。

 背景には、都道府県の廃止と市町村の改編という荒事の改革に対して地方関係団体が反対している事情があり、参院選を控えて自民党内には地方組織の反発を恐れる空気がある。参院自民党幹部は「市町村は自民党の支持基盤だ」と憤っている。同16日の党役員連絡会で法案状況を説明した高市早苗政調会長に、脇雅史参院国対委員長らが「慎重に進めるべきだ」とくぎを刺す場面があった。

 急な法案提出の動きに警戒感を募らせた全国知事会地方行政体制特別委員長の上田清司埼玉県知事が同18日、自民党の今村本部長に「法案にはいくつかの懸念がある」と慎重な対応を求める文書を提出した。上田知事は「都道府県の廃止が表に出て、道州と基礎自治体の守備範囲が示されていない」と懸念を示した。今村本部長は前日に安倍首相から官邸に呼ばれ「着実に進めてほしい」と指示されていたが、18日の時点では記者団に「(法案の「国会提出は)できるだけ早く進めたい」と話すのにとどまっていた。

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