毎日フォーラム~毎日新聞社

嘉手納以南の米軍基地返還計画発表
負担軽減へ「一歩前進」、焦点は普天間の県内移設の進展【沖縄】

2013年05月14日(火) 毎日フォーラム
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 沖縄県には現在、全国の米軍専用施設の面積のうち73・8%が立地している。騒音や事故、米兵による犯罪など日米同盟の「負の側面」と言える沖縄の基地負担を減らそうと、日米両政府は4月上旬、米軍嘉手納基地(嘉手納町など)より南にある六つの米軍施設・区域の返還計画を発表した。計画では「返還の手順」と「作業が順調に進んだ場合の返還時期」の両方が初めて示され、沖縄側からは負担軽減に向けて「一歩前進」との評価も得た。日本政府はこの返還計画をテコに、普天間飛行場(宜野湾市)の県内移設に対する沖縄側の理解を引き出したい考えだ。

「目に見える形で沖縄の負担軽減が進むことになった。日米双方がしっかりと沖縄の負担を軽減させていく、という意思表示だ」。4月5日、日米の国旗が5本ずつずらりと並べられた首相官邸4階の特別会議室。ルース駐日米大使を迎えた安倍晋三首相は、この日発表した返還計画の意義を自信に満ちた表情でアピールした。

 6施設・区域の返還は、沖縄側が長年にわたって求めてきた懸案事項だ。普天間飛行場は米兵による少女暴行事件をきっかけに返還を求める機運が高まり、日米両政府が96年、5~7年以内に返還することで合意。那覇軍港(那覇市)の返還の歴史はさらに古く、沖縄の本土復帰から2年後の74年に合意に達している。

 これらの土地の返還をめぐっては、航空機事故などの危険性排除に加え、跡地の再開発による経済活性化への期待も大きい。牧港補給地区(浦添市)は沖縄の大動脈・国道58号と海に挟まれた好立地にあり、返還によって本島南北のヒト・モノの移動の大幅な改善が見込まれる。那覇軍港も那覇市中心部と那覇空港の中間地点に位置し、物流の拠点として跡地を活用する案が検討されてきた。

 こうした沖縄側の要望に反し、遅々として進まなかった返還の作業。その最大の要因が、返還の条件とされた「県内への代替施設建設」の停滞だ。

 日米両政府は在沖米軍の機能を維持するため、既存施設の大半を県内のほかの場所に移設することで一致。さらに普天間飛行場の名護市辺野古への移設完了までは、同飛行場以外の施設・区域の返還に着手しないとする「パッケージ」化でも合意していた。

 ところが同飛行場の辺野古移設は、県外への移転を求める県民の反対で一向に進まず、その他の施設・区域の返還作業もストップ。両政府は昨年4月、同飛行場の移設完了を待たずに他の施設・区域の返還を進めるため「パッケージ」の切り離しに踏み切ったが、米軍の機能維持などを理由に米政府は引き続き「パッケージ」を重視、返還作業は足踏み状態となっていた。

 こう着状態を打開するきっかけとなったのが、2月に行われた安倍首相とオバマ米大統領の首脳会談だった。安倍首相は、普天間飛行場の移設と嘉手納基地以南の6施設・区域の返還をひとまとめにして「着実に進めていきたい」と自ら提案。その1カ月後には、同飛行場の移設に必要な公有水面埋め立て申請願書を地元の反対を押し切る形で沖縄県に提出し、「有言実行」ぶりをアピールした。

 米側は日本政府からのメッセージを受け止め、6施設・区域の返還に消極的だったそれまでの姿勢を180度転換。防衛省幹部も「あの首脳会談以降、返還計画づくりが一気に進み始めた」と振り返る。

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