企業・経営
トヨタ営業利益1兆3208億円達成は円安効果だけではない!豊田章男社長が目指す「真の競争力」強化とは
『真の競争力』を追求したい、という豊田社長(撮影:筆者)

「持続的に成長していくためのスタートラインにやっとつけた。足下の環境に捉われることなく、『真の競争力』、すなわち『持続的成長を可能にするための競争力』をトヨタに関わる全員で、真剣に考え、追求していきたい」

 トヨタ自動車の豊田章男社長は5月8日、2013年3月期決算発表の冒頭の挨拶でこう語った。本稿では社長発言の真意について考えてみたい。結論から言えば、社長発言の真意は、好業績の要因は単に円安ではないし、為替の動向に一喜一憂して、真にやるべきことを怠っていては国際競争力が劣後してしまうことにあるのではないだろうか。

グループとしての業績も好調

 トヨタの2013年3月期決算は売上高が前年同期比18・7%増の22兆641億円、本業の儲けを示す営業利益が3・7倍の1兆3208億円、当期純利益が3・4倍の9621億円だった。営業利益率が約6%となり、前年同期から4ポイント上昇した。リーマンショック前の全盛期が10%近く、その後、1、2%台で低迷していたのでかなり回復したと言えるだろう。

 営業利益は絶対額で9652億円増えた。増益要因の内訳は、販売増など営業面の努力で6500億円、原価改善の努力で4500億円、為替の影響で1500億円、その他で152億円の計1兆2652億円だった。減益要因は諸経費の増加で3000億円。差し引きして9652億円の営業増益となった。

 円安の影響はわずか1500億円でしかない。世間が「円安、円安」と騒ぐほど大きくないのである。これは、円安が効いた期間が3カ月程度しかなかったことも影響している。2013年3月期決算期間の期中レートは1ドル=83円であり、現在進行形のレートとはかけ離れている。北米で約60万台、国内で約21万台、アジアで約36万台と「もっといい車づくり」の号令の下、商品力を強化して地道に販売を増やしてきたことが最大の増益要因だ。

 そして、国内事業の大規模な構造改革を推し進めた結果、地域別の営業損益では国内事業が2070億円の営業赤字から一気に5763億円の黒字に転じたことも全体利益を大きく押し上げる効果があった。
 


「2次、3次の中小下請け企業に構造改革のしわ寄せが行った」(トヨタ系中堅部品メーカー幹部)との見方もあるが、トヨタグループのデンソーやアイシン精機といった系列企業も業績は概ね好調だったことから、グループとしては確実に業績を回復させていると言ってもいいだろう。


豊田社長は「円高や円安といった為替の短期的な動向に左右されないようにトヨタを『リボーン』させていく」とも語った。為替がどう変動しようと、「真に競争力」が強い会社は、利益を生み出していくものなのである。

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