異次元金融緩和で「株価が上がってバブル発生」は時期尚早! 資産価格の上昇こそが経済正常化の鍵である

 日本銀行の黒田新体制が狙っている金融政策は、資産価格の上昇に働きかける金融政策である。この新体制による異次元緩和によって、早速「バブルが発生する」との意見を見るにつけ、現状の日本経済の見方によってこうも意見が食い違うかと実感する。

 現在の日本経済が、失業がない状態であれば資産価格が上昇することはバブルにつながるだろう。しかし、現在、失業率は4%台のまま、また、工場も数ヵ月前まではフル稼働にほど遠い状況だった。80年代末には4万円近い株価が昨年末の段階ではその1/4程度になっていた、そこが出発点だ。

 地価も90年代初めのピークに比べれば、未だ大きく落ち込んでいる。このような状況下、仮に株価が2万円にもならないなかで、「株価が上がってバブル発生」というのは、時期尚早だ。

資産価格の上昇こそが経済正常化の鍵

 「実際に、経済が良くなるかどうかは分からない」との声も聞く。しかし金融政策により資産価格が上昇すると、企業の行動が変わる。具体的には、より積極的に投資を行うようになってくる。また、株価や地価が上昇すると、家計の動向も変化する。資産効果により、耐久消費財などの消費も上昇する。

 これらは、いずれも経済学で一般的に言われていることだ。今の経済が、働きたくても働くことができない意図せざる失業を抱えた経済なので、企業投資の活発化や家計の消費増加は、経済を正常な姿に近づけることになる。

 「ベースマネーを増やすと、なぜ経済が良くなるのか」との声についても、まさに今、将来のベースマネーの増加期待から資産価格が上昇しているのである。この資産価格の上昇こそが、経済正常化の鍵なのだ。

 円安による輸入物価の上昇や原油価格の上昇の懸念も言われるが、これも木を見て森を見ない議論である。

 確かに、輸入物価の上昇や原油価格の上昇により、家計の一部が苦しくなることは事実だろう。しかし、円安により、雇用が確保されるようになり、また、業績が上向き、給料が上がりやすくなれば、家計に対してはより大きな効果を望むことができる。原油価格の上昇による家計の苦しさと、雇用の安心とを比較するまでもない。

 また、年金生活者についても、3年間で2.5%支給額が引下げられ、さらにマクロ経済スライドが発動されれば、物価の上昇ほどには年金が調整されないとの論もあるが、2年前、事業仕分けのなかで、デフレにより年金が高止まりしていること、また、デフレによって年金の支給額の調整がうまくいっていないことを議論している。

 2.5%の年金支給額の減額は、事業仕分けを受けての措置であり、また、デフレから脱却し、マクロ調整スライドが機能することは、本来の年金支給額の調整機能が戻ることを意味している。金融緩和の話と結びつけて論じるには無理があるのだ。

 さらに付け加えれば、積立金の運用に外債、株式があり、これらの評価益が年金財政に貢献する。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら