2013.05.10(Fri)

カニの産地で一年中カニが食べられる---それはお客様の気持ちを無視しています。
お客様は、季節の移ろいを感じたいはずですから。

星野リゾート 星野佳路

週刊現代
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旅館の『星のや』、温泉旅館『界』、スキー場の『トマム』『アルツ磐梯』など、全国29ヵ所のリゾート施設を運営する星野リゾート。社長は、国土交通省により「観光カリスマ」にも認定された星野佳路氏(52歳)。1904年創業の、軽井沢「星野温泉」4代目として生まれ、日本の観光業に変革を起こそうとする風雲児だ。

カニの産地で一年中カニが食べられる---それはお客様の気持ちを無視しています。 お客様は、季節の移ろいを感じたいはずですから。ほしの・よしはる/'60年、長野県生まれ。'83年に慶應義塾大学経済学部を卒業し、'86年に米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程を修了。シティバンク銀行などを経て、'91年より現職。'03年、国土交通省より第1回観光カリスマに選定され、'10年には第23回日本メガネベストドレッサー賞経済界部門も受賞

ルーツ

「なぜキミはイギリス人のまねごとをするんだ?」という言葉が私の原点です。

 大学卒業後、観光業への理解を深めるため、米国の大学院でホテル経営を学んでいた時のことです。大学のスポンサーの方がいらっしゃるフォーマルな場があり、私は「当然」とばかりにスーツを着て行きました。

 ところが、40人のクラスメートはみんな、アジアや南米など、それぞれの民族衣装を着ており、私は先の言葉をかけられたのです。そして帰国後「あの言葉は日本の観光業にあてはまる」と思いました。ヨーロッパ発祥のサービスばかりが一流とされている。もちろん、それもいいものですが、日本の文化や日本独特のホスピタリティがないがしろにされているのではないか、と感じたのです。

顧客の誇り

 当社の青森のホテルでは津軽三味線の演奏をお聴きいただけます。竹富島(沖縄県)の星のやでは、まだ全国的には知られていない地元の食材を使ったキュイジーヌが楽しめます。

 日本には、日本流のサービスがあっていい。ホテルや旅館で楽しんでいただく時、ホスピタリティや施設の使い勝手も重要ですが、お客様が「そこに泊まったことで誇りが持てるか」が、じつは、ことのほか大事なのです。そして、日本流のサービスのほうが―無意識のうちにかもしれませんが―お客様のプライドが満たされる場合が多い。

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