テレビの未来を読み解く特別対談 久田将義(元『実話ナックルズ』編集長) × 下川美奈(日本テレビ社会部デスク)
「メディアはお互いの足りない部分を補完し合うもの」

【前編】はこちらをご覧ください。

 今回は特別対談の後編。前回に引き続き、日本テレビの下川美奈さん(日本テレビ報道局社会部デスク)と久田将義さん(元「実話ナックルズ」編集長)がテレビの現在と未来を語り合った。

 テレビは誕生から60年を迎えたが、二人は1970年代生まれと1960年代生まれで、テレビの青春期に生まれた世代。そんなテレビも今や熟年期に差し掛かっている。メディアの最前線で働く二人は、どうテレビと向かい合っているのか?

アドリブトークのスリルとサスペンス

久田: アメリカは昔からそうですが、日本のニュース番組やワイドショーはキャスターの力が大きいですね。僕自身、キャスターの人を見て、番組を選んでいます。

下川美奈さん

下川: 日本テレビのメインニュースで言うと、夕方の『newsevery.』は主に若い主婦層に多く見ていただいているので、どちらかというと、見やすさ、分かりやすさを重視していますが、夜の『NEWS ZERO』は元大蔵官僚という異色のメインキャスター、村尾信尚さんを始め、国民的アイドルの櫻井翔さんといった、キャスターのキャラクターを重視した、少しメッセージ性が強い番組の印象を視聴者の方は持つかも知れません。

 私は2年前から『情報ライブ ミヤネ屋』のニュースコーナーで、キャスター役をやらせていただいていますが、『ミヤネ屋』もメーンキャスターの宮根誠司さんの求心力が原動力になっています。

久田: そうでしょうね。

下川: 『ミヤネ屋』はニュースコーナーやいくつかの特集以外、基本的にすべて大阪の系列局である読売テレビの制作なんです。

 大阪の番組には、独特の自由な雰囲気があります。よく話題になる『たかじんのそこまで言って委員会』も同じ読売テレビの制作で、『ミヤネ屋』と同様、関東の私たちから見ると、かなり「大阪ノリ」です。

久田: それが大阪制作の番組の売りの一つになっているんでしょう。

下川: 東京制作の番組は、キャスターのコメント一つまで事前に綿密な打ち合わせを行って、番組全体で二重、三重のチェックをします。一方、『ミヤネ屋』のニュースコーナーは、その日取り上げたニュースなどについて、宮根さんと私が掛け合うトークがあるのですが、それがすべてアドリブなんです。事前の打ち合わせは一切ない。

久田: 何を話すか決まってないんですか。

下川: ええ。一応、ニュースの項目は6本くらいと決まっているので、その中から話すだろうということは推測できますけれど、大阪のスタジオにいる宮根さんが、その時に気になってしまったことを、突然、日本テレビ報道局にいる私に問い掛けて来るのですから、打ち合わせなどする余裕はなく、かなり緊張します。

 いい加減なことや間違ったことは言えませんし、突然、ニュースと全く関係のない、「下川さん、また飲み過ぎでしょう」という与太話を振られることもあるますし。責任感を感じつつ、盛り上げなければならない・・・。スリルとサスペンスの時間です。

久田: それが面白さも生むのでしょう。ニュースコーナーは何分間あるんですか?

下川: 午後3時前後からの約10分間。約3分間のニュースと約2分間のトークが2回ずつあります。

久田将義さん

久田: となると、計4分間のトークが宮根さんのアドリブなんですね。それは凄い。

 アドリブといえば、僕もMXテレビの『5時に夢中!』という情報番組に一度コメンテーターとしてゲスト出演させていただきましたが、あまりに自由で驚きました。顔合わせの場で挨拶を交わしただけで、いきなり本番。「えーっ! これでいいの?」とビックリしました。

 打ち合わせがないのだから、何を言ってもいいんだろうと勝手に考え、夕刊の記事について「久田さんの感想は?」と問われると、正直に「興味ないですね」というノリで答えてました。

下川: ウフフ。

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