ますます熾烈になる参議院の多数派工作!憲法改正論議は政界再編へとつながっていくか

 国会は、連休の谷間の4月30日、5月1日、2日に参議院予算委員会で、地方、中央公聴会が開かれ、採決までのめどが立った。5月15日には、本年度予算が決まる。あとは、「0増5減」法案の行方が大きな焦点であるが、たとえ参議院で否決されても、与党は三分の二の再議決で強行突破するであろう。

 それは、安倍内閣の支持率が依然として高く、しかも上昇を続けていることが、自民党に自信を与えているからである。28日に行われた山口の参議院補選でも、元閣僚の民主党候補に自民党候補が圧勝した。この結果、参議院では、自民党会派は84人となり、第一会派の民主党の85人と比べて、わずか1議席差となっている。

 しかも、すでに民主党の室井邦彦参議院議員が離党届を出しており、室井氏の会派離脱が認められれば、両会派の議席数の差は無くなる。

 予算案は参議院で否決されても、憲法の規定で衆議院の議決が優先されるので、成立はするが、安倍政権にとっては、参議院でも可決されたほうが好ましいのは当然だ。参議院では、予算案の採決前に、1議席をめぐる熾烈な多数派工作が展開されている。

 自民党会派に属する無所属の大江康弘氏が、予算案の採決後に議員辞職し、自民党の比例代表からの立候補を予定しているという。大江氏は、6年前の参議院選挙に民主党から立候補して当選しているので、自民党から立候補しようとするのなら、法的には、いったん議員辞職するしか手はない。大江氏が議員辞職すれば、比例区の民主党候補が繰り上げ当選するので、民主党会派と自民党会派との議席数にも影響する。

順風満帆のときこそ細心の注意を

 いずれにしても、予算が成立すると、永田町は参議院選挙一色に塗りつぶされる。

 連休中の外遊でも、ロシアとの対話の再開など、安倍首相はそれなりの成果を上げてきた。また、閣僚の靖国参拝問題にしても、韓国や中国に毅然とした態度で反論する総理の姿は、竹島や尖閣諸島で悔しい思いをしている日本人のナショナリズムを満足させている。また、EXILEのコンサートに行くなど、小泉純一郎元首相を彷彿とさせるパフォーマンスも、若者への支持を広げようとするメディア戦略の一環であろう。小泉元首相の政務秘書官であった飯島勲氏を補佐官に採用した戦略が功を奏しているようである。

 このような安倍人気を背景にした今の自民党の勢いだと、参議院選挙での単独過半数も十分に可能で、民主党は党の存続すら危うくなろう。みんなの党や維新にしても、大幅な党勢拡大は望めない状況である。

 しかし、政治の世界は、一寸先は闇である。何が起こるか分からない。内政でも外交でも、順風満帆のときこそ注意が必要である。選挙中に税金について不用意な発言をしたばかりに、橋本龍太郎元首相は、苦杯をなめた。

 7月21日に予定されている投票日まで、安倍内閣は、慎重な政権運営を心がけるべきであろう。

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