全柔連が“不正”な助成金流用に組織的関与――第三者委員会の決定的な「中間報告」を受けても居座る上村春樹体制の不可解


“弱気”は1日だけだった――。

 全日本柔道連盟(全柔連)が、日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金の一部を指導者に上納させていた問題で、全柔連が設置していた第三者委員会(委員長・山内貴博弁護士)は、4月26日、「目的外使用のうえ、順法精神に欠ける組織的関与があった」と、痛烈に全柔連を批判する「中間報告書」を提出した。

 これを受けて上村春樹会長は、6月の定例理事会での辞任を示唆。ところが、翌27日の臨時理事会では、進退について言及せず、「居座るつもりではないか」といった観測が広がっている。

 いったい何が起きているのか。

 反上村派の全柔連関係者が解説する。
「上村会長は、『互助会的に集めていた』と説明。個人的に流用していたわけではないという思いもあり、乗り切れると思っていた。ところが、予想外に厳しく指弾され、辞任を示唆せざるを得なかった。でも、本音は踏みとどまりたい。また、イエスマンで固めた理事会など周辺も、『耐えれば、なんとかなる』と説得。それで居座りたいという気になってきた」

 体育会気質の直情型が多い全柔連幹部のなかで、上村氏は「政治的判断の下せる策士」(スポーツ紙記者)として知られる。モントリオール五輪無差別級金メダリストとしての実績もある。

背景にある柔道界の学閥・派閥問題

 日本の柔道界は、講道館を創設した嘉納家が、全柔連会長、講道館館長として名誉職的に君臨、その下で能力と実績に秀でた元選手が、実務を担うという形で機能してきた。

 上村氏は、長く柔道界のトップにいた嘉納行光氏が、2009年2月、高齢を理由に引退する際、嘉納氏に直系男子がいなかったこともあり、全柔連会長、講道館館長の座を、実質的に“禅譲”された。

 その後継ポストを手にするまでの嘉納家をはじめとする柔道関係者への根回し、トップに座ってからの全柔連幹部への硬軟取り混ぜた囲い込みには、傑出したものがあった。結果として、全柔連は自らの出身校である明治大閥が支配する構図となった。
 


 女子柔道選手への園田隆二前監督のパワハラ騒動から始まった全柔連問題は、助成金不正受給へと進展、柔道界を揺るがす事態となっているのだが、その背後に柔道界に根深く残る派閥=学閥争いがあるのを見逃してはならない。

 4年前から柔道界に君臨するようになった上村氏に対抗する勢力は、副会長の佐藤宣践氏が率いる東海―筑波大閥である。世界選手権での金はあっても、オリンピックでのメダル獲得のない佐藤氏は、選手としての実績では上村氏に劣るものの、旧東京教育大(現筑波)出身の人脈と、引退後に務めた東海大で、203連勝の偉業を持つ山下泰裕氏を育てた功績で、東海―筑波大閥をリードする。

 今回、パワハラ騒動は、明治大卒の園田前監督の指導に不満を漏らす選手を福見友子氏らがまとめ、15名連名で訴え、それを背後から支えたのは、ソウル五輪銅メダリストの山口香氏だった。福見、山口両氏とも筑波大出身である。

 そして、今回の助成金不正受給問題が、パワハラ騒動が下火になったのを見計らったようにタイミングよくスポーツ紙のスクープから始まったこともあって、「東海―筑波大閥のリーク」と囁かれた。

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