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週現スペシャル 大研究 遺伝するもの、しないもの 【第2部】これが遺伝する病気です【 第3部】「親の才能」——何が子どもに受け継がれるのか

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 免疫が関係しているものには、リウマチなどもあるが、これも遺伝的要素が強い。さらには、免疫力の「強さ」も、遺伝によって決まっているという。免疫力が強いのは、血液型がO型の人々。これはなぜか。前出・石浦氏が解説する。

「O型の人は、遺伝子変異が起こった結果、赤血球の表面の糖鎖(糖が鎖状に連なった分子)に、ウイルスをくっつけにくい性質があるんです。つまり、感染症にかかりにくいと考えられている。これは、遺伝的な性質ですよね。いま、世界中でO型の人口が一番多いのですが、それも免疫力が高いからだと推測できるのです」

 一見遺伝とは関係なさそうに見える病気でも、遺伝するものは他にも多い。

 統合失調症や躁うつ病といった精神疾患も遺伝要因が強く関係している。遺伝子構造がまったく同じ一卵性双生児を調査した研究では、片方が統合失調症だと、もう一人もその病気になる確率は50%、躁うつ病では60%といったデータが出ている。「心」の病も、遺伝するということが示されているのだ。

 では、虫歯などの身近な症状はどうなのか。

「虫歯は、虫歯菌に感染して生じるものなので、遺伝的要素はありません。ですが、親子代々、虫歯になりやすい家系というものはあり、私が診察しているところでは、4~6割くらいでしょうか。食生活や歯磨きの習慣が大きいのですが、虫歯になりやすい歯の質が遺伝している可能性もあるでしょう」(天野歯科医院院長・天野聖志氏)

 ちなみに、天野氏によると、歯並びはほぼ100%遺伝が関与しているという。あごや歯の大きさが遺伝するからだ。意外なのは「いびきも遺伝する」ということだが、これも歯並びと同じ理屈だ。

「咽頭や喉頭といった口の構造や骨格、肉のつき方は親によく似るので、声も似てきますが、それに伴って、いびきのかきやすさも遺伝するのです。割合としては、20%強というデータが出ています」(睡眠総合ケアクリニック代々木・伊藤永喜医師)

 骨格や肉付きによって容姿が似てくれば、それに伴う病気の出方も似てくるというわけだ。他のものも含めて代表的な50種類の病気について、どの程度遺伝するかを表にまとめた。

 国際ヒトゲノム・プロジェクトの代表を務め、現在はアメリカ国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズ氏は、「あと数年で、多くの人が個人の全ゲノム配列情報を、さまざまな病気へのかかりやすさの予測と共に入手することになるだろう」と断言する。自分が、どのような病気に、いつごろ、どれくらいの確率でかかる可能性があるか、そのすべてを知る日も近づいているのだ。

 だが、ひとつ忘れてはいけないのは、「遺伝子がすべてを決めているのではない」ということ。病気によって差はあれ、環境や生活習慣を見直すことで発症を予防できる可能性は充分にある。自身も遺伝子検査を受けたというコリンズ氏は、糖尿病のリスクが高いことが発覚し、生活習慣を改めたという。

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