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週現スペシャル 大研究 遺伝するもの、しないもの 【第2部】これが遺伝する病気です【 第3部】「親の才能」——何が子どもに受け継がれるのか

第2部 これが遺伝する病気です
がん、脳卒中、認知症、うつ、虫歯、痛風、花粉症ほか

 知りたいけど、怖いから本当のことは知りたくない。"遺伝的に"臆病な性質を持っている人は、そう思うかもしれない。「病気の遺伝」の話だ。

 がん家系、脳卒中家系……とはよく聞くが、いったいどこまで遺伝するのか。'03年に全ヒトゲノムの解読が終わり、どの遺伝子がどのような病気・体質に関与しているかということが、徐々に解明されてきている。

 その成果を順に見ていこう。まず最初は、日本人の死因トップのがん。国立がん研究センター研究所遺伝医学研究分野・分野長の吉田輝彦医師が解説する。

「がんには、3つの原因があります。一つ目は、たばこで肺がんになるといった生活習慣や環境的な要因。二つ目は加齢。いくら健康的な生活を送っていても、歳を重ねるとDNAに傷がついてしまい、がんが発生してしまいます。そして最後が、遺伝的な要因です。'96年にアメリカで報告された分析では、親戚内でがんが複数の人に発症するなど、家族歴が関係する割合は5%程度と言われています」

 ただし、どの種類のがんも同じ確率で遺伝するわけではない。遺伝しやすいがん、しにくいがんというものがあるという。

「とくに遺伝が強く関連する可能性のあるがんは、大腸がん、乳がん、子宮体がん、卵巣がん、胃がんなどの一部です」(前出・吉田医師)

 たとえば、家族性大腸腺腫症という大腸がんの種類は、たったひとつの遺伝子ががんの発症を左右している。全大腸がんの1%以下の発症率というまれな病気だが、優性遺伝するため、この遺伝子を持っている人は、放っておいたら必ずがんが発症してしまう。そのため、大腸をすべて摘出する手術が必要となる。

 また、変異型のBRCA1及び2という遺伝子を保有している場合、女性には乳がんと卵巣がんのリスクが非常に高まる。男性の場合も、男性乳がんのリスクが高まるほか、前立腺がんと膵臓がんのリスクが少し高まるという。

本当は遺伝するあの病気

 各がんについては、次ページの表を参照していただきたいが、自分が「がん家系」であるかを見分けるポイントがあるという。

「自分や母方、または父方の血縁者において、(1)特定の臓器、あるいは複数の臓器にがんが多発している、(2)若くして(20~30代など)がんを発症している、(3)男性の乳がんなど珍しいがんを発症している、といった場合です」(同前)

 2人に1人ががんになる時代。家系に複数のがん患者がいてもおかしくはないが、右に挙げた4つのポイントに思い当たる節があるなら、病院で検査を受けてみてもいいだろう。