安倍政権は「消費税還元セール禁止」に固執するよりも、来年4月の「消費税増税スキップ」こそが正解だ!

 アベノミクスは絶好調で、自民党の支持率も高い。ただ好事魔が多し。消費税増税のタイミングは気にかかる。

 消費税は、今のところ2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられる予定だ。安倍晋三首相は選挙戦のときから、増税のためには経済好転が条件といっているが、どのような判断をするのだろうか。夏の参院選の大きな争点である。ゴールデン・ウィーク後の国会は参院選に向けたムードが盛り上がってくるはずだ。

法案は民主党政権の遺産

 消費税増税のための布石は着々と打たれている。消費税転嫁法案(正式には「 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」)は、3月22日に閣議決定され、4月12日に衆議院経済産業委員会に付託され、審議されている。

 その内容は、「消費税還元セール」などの値引きセールを禁止するとともに、一定の「価格転嫁カルテル」と「価格表示カルテル」を独禁法の適用除外とするものだ。17年3月末までの時限立法として、10月施行を目指している。

 ただし、「消費税還元セール」はさすがに消費者や小売側の評判が悪く、麻生太郎副総理・財務・金融相は「消費税」の言葉を使わない表示は「全体状況から消費税を意味するのが明らかでないと禁止表示にはならない」と述べた。

 法律案では、「取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示」や「取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示」となっているので、運用指針を決めないと、何がセーフなのかアウトなのか国民にはさっぱりわからないだろう。

こんな規定は自由主義経済に相応しくない。法案が準備されたのは、1年ほど前の民主党政権時代だ。民主党政権ではデフレ脱却できずに、デフレが前提となって中小事業者の価格転嫁が大変だろうということで、値引きセール禁止と転嫁カルテルの独禁法適用除外の方針が決められた。

そもそも、前回の97年の消費税増税時には、そうした措置はとられていない。しかしながら、価格転嫁はスムーズに行われた。アベノミクスでインフレ目標2%を掲げている現在と、デフレに入った直後の97年のころの経済環境を比べると、価格転嫁は97年の方が困難であっただろう。

 官僚は方針転換できないので、消費税転嫁法案を通そうとするが、97年の時のように法案はいらない。当時、公取委委員長は財務省OBでなく、検事出身の根来泰周(ねごろ・やすちか)氏。適用除外カルテルを認めず、自由主義経済の原理を通した。しかし、今回の公取委委員長は元財務事務次官・杉本和行氏だ。消費税増税を悲願とする財務省は経済原理を忘れてしまう。

 消費税増税で財政再建ができるというのが、今の財務省のロジックだが、これは経済原理に反している。

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