対談 堀潤 × 津田大介 【第3回】
市民発信の力とクラウドファンディングで、新しいメディアを創ります

[左]津田大介さん、[右]堀潤さん
※この対談は4月2日に行われたものです。書き起こしにあたっては、読みやすくするために必要最低限の編集を行っています。

【第2回】はこちらをご覧ください。

クビになっても、言わなければならないこと

津田 平時の報道のルールを原発事故という緊急時にも適用してしまったことの問題については、池上彰さんがずっと指摘されていますよね。結局、NHKも含めた震災報道の問題は「100%裏が取れたものでなければ流さない」という姿勢にあったと。

 「この情報は、80%は確実で、20%は間違っているかもしれない。だから皆さん、8割は正しい情報だと思って受け取ってください」という、その伝え方の方法論がなかった。そんな指摘でした。

 本当は、そうやって伝えるパッケージを、メディアは組織としてきちんと訓練して持っていなければならないんです。あのとき、科学文化部の山崎淑行記者と解説委員の水野倫之さんは、政府が発表する前に、

 「ひょっとしたら深刻な原子力災害になっている恐れがあるから、外に出るのは止めて、家の換気扇を閉じ、長袖の服を着て、内部被曝を防ぐために屋外のものを食べるのは止めた方がいい」

 といった趣旨のことを放送で話しました。「まだ政府は発表していないけれども」という留保付きの言い方でした。僕は非常に重要な情報だと思い、すぐにTwitterに転記してつぶやいたんです。

 後になって、山崎さんに「あのときはどんな気持ちだったのですか」と聞いたら、やはり、「これを言ったらクビになるかもしれない。でも、仮にクビになっても言わなければならない問題だ」と考えたそうです。

 僕は、これを単なる美談で終わらせてはいけないと思ったんです。「一職員の発言に、そこまで一生を背負わせるくらいのシステムで本当にいいのか」と。健全とは思えませんでした。