アベノミクスの成否は国民の給料にかかっている! 企業のパフォーマンス改善のために会社法改正を!

 大胆な金融緩和の結果、円安、株高となり、世の中も明るい雰囲気になりつつある。来年4月に消費税率が上がることを前提にして、住宅などの高額商品の売り上げも好調である。これまでのところ、アベノミクスは成功しているようだ。しかも、安倍内閣にはマスコミに強い知恵者が側近にいるようで、メディアへの露出の仕方が上手い。

 それもあってか、安倍首相は自信に満ちており、国会答弁でも野党に対して強硬な姿勢を示すようになってきている。ただ、少し気になる発言もある。それは、社民党の福島議員が4月25日の参議院予算委員会(経済財政集中)で憲法問題を取り上げたことに不快感を示して、「私も総理大臣としての職務がありますよ、でも時間をとってここにきているんです」と言ったことだ。そのような発言は慎んだほうがよい。

 国会は国権の最高機関であり、行政府が立法府によってチェック&バランスの対象となるのは当たり前だからである。私も閣僚のときに、国会審議で拘束されて行政に十分な時間がとれずに閉口したし、海外出張もままならなかった。だから、安倍総理が怒りたくなる気持ちは分かるが、やはり国会軽視のような発言はよくない。

 それは、対外関係についても言えることで、閣僚の靖国参拝に対して中国や韓国が反発すると、「祖国のために命を捧げた英霊に対して尊崇の念を表すことは何の問題もない」と明言して、「脅しには屈しない」と正面から反論する。

 このような態度は、我が国固有の領土である尖閣諸島や竹島に中国や韓国が乗り出してきていることに反発している国民に歓迎されている。しかし、外交ということについては、そうした態度が招く他国との軋轢をどう処理するかもまた、問題である。とりわけ、北朝鮮の暴発を、アメリカ、中国、韓国と協力して抑止しなければならない今日、相当に慎重で気配りのある発言が求められるのではなかろうか。

賃金を上げるために株主資本主義を改める必要がある

 去る2月19日の予算委員会で、私は、安倍首相に質問し、アベノミクスが成功するか否かは、国民の給料が上がるかどうかにかかっていると述べて、経営者がなぜ従業員の賃金を上げないのかというテーマについて議論した。

 会社が儲かったときに、経営者は、それを設備投資や配当や賃金に回すことになろうが、現実には内部留保を積み上げている。しかも、賃上げする前に、株の配当を支払うが、その配当の率が高いという問題がある。外人投資家の比率が高まっており、彼らの要求で配当性向が高くなっているのである。そのような状態が改善されないかぎり、大胆な金融緩和をしてもその効果が減殺されることになる。

 したがって、株主資本主義を改める必要があるという議論が出てくることになる。4月18日に開かれた経済財政諮問会議では、この問題がテーマとなっている。ただ、経済がグローバル化する中で、「日本型資本主義」の試みがどこまで成立するかは定かではない。むしろ、このような議論が、企業のガバナンスを改善するインセンティヴの腰を折らないように注意しなければならない。

 その観点で注目されるのは、会社法の改正である。昨年の秋には改正要綱ができているが、法案化の作業が進んでいないし、国会での審議もまだ行われていない。この通常国会でも無理だし、参議院選挙後の臨時国会でもどうなるか分からない。

 会社法改正の中身は、社外取締役の活用、多重代表訴訟制度の創設、ライツ・オファリングの改善などであるが、これらは企業のガバナンスを改善させるのに役立つ。パフォーマンスの優れない会社に投資する者などいない。いかにベースマネーを増やそうとも、それが企業の増資につながり、業績を上向きにしなければ、賃上げなど不可能である。

 そこで、たとえば、ライツ・イシュー(株主割当増資)を使いやすくすると、ダイリュージョン(一株利益の希薄化)を招かず、既存株主の利益を守ることができることになる。このような改善措置をとれば、企業が投資に値する会社へと変貌を遂げることができるのである。

 会社法改正を急ぐこともまた、アベノミクスを成功させることにつながるであろう。「三本の矢」以外にも取り組むべき課題は山積している。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら