『対中戦略 無益な戦争を回避するために』(近藤大介著)
~第1章「尖閣問題の全真相」より一部抜粋~

尖閣問題の真相を知り、中国の野望と弱点を具体的に分析すれば日本が採るべき「対中戦略」が見えてくる! 中国の野望とは? 弱点は? --- 「日本一、中国を知る男」がすべてを明らかにする!

船橋洋一氏絶賛!!
「徹底した現地取材と鋭い洞察。日中関係出直しに必読の書だ!」

孫崎享氏激賞!!
「中国の弱点を暴き、習近平の中国と渡り合う道を提言する意欲作」

はじめに

 「わが国の領土・領海・領空に対する挑発が続いている。諸君が防衛大の門を叩いた4年前とは異なる。これから臨む現場で起きていることは冷厳な現実であり、『いまそこにある危機』だ。私は先頭に立って、国民の生命・財産、領土・領海・領空を守り抜く決意だ。防衛大綱を見直し、南西地域を含め、自衛隊の対応能力向上を進める」

 「中華民族には5000年余年の博大精深な文明の歴史がある。私は国家主席として、中華民族の偉大なる復興という"中国夢"を実現させる。国家を富強させ、民族を振興し、中国人の理想を体現させる。人民解放軍、及び人民武装警察部隊の全軍全隊は、中国共産党の指揮のもと、攻撃能力を持ち、かつ戦勝する。堅忍不抜の覚悟で、国家の主権、安全、発展する国益、そして国民の生命財産を守っていく」

 前者は、2013年3月17日午前、安倍晋三首相が防衛大学校の卒業式に臨み、行った訓示である。後者は同日同時間帯に、習近平新国家主席が、北京の人民大会堂で、全国人民代表大会の閉幕にあたって述べた講話だ。距離にして2100キロメートルの日本と中国の首都圏では、日中対立を象徴するような世界が展開されているのである。

『対中戦略 無益な戦争を回避するために』
著者=近藤大介
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 3月に中国は、名実共に習近平時代を迎えた。EUの2倍以上の人口と面積を持つアジア最大の大国の命運は、今後少なくとも5年間(平穏無事ならば10年間)は、習近平という「新皇帝」に委ねられることになった。

 胡錦濤から習近平への権力継承は、単なるバトンタッチではない。南方出身の指導者から北京出身の指導者へ、戦時生まれの指導者から青春を文革に捧げた指導者へ、そして官僚主導の指導者から軍重視の指導者への転換を意味する。

 習近平政権のキャッチフレーズである「中華民族の偉大なる復興」という"中国夢"の実現へ向けた新たな革命の時代が、中国で始まったのだ。建国の父・毛沢東から、中国の暦で「一巡り」の60年を経て生まれた習近平は、まさに「21世紀の毛沢東」たらんとしているのである。