ライアン小川(泰弘・ヤクルト)「テキサスからのオファー目指します!」
カメラマンの求めに応じて足上げを披露。厚みのある大腿部は、大学時代に量をこなした走り込みの賜物だ〔PHOTO〕荒川祐史

 やはり個性派投手は見ていて面白い!久しぶりにそう思わせる若手が現れた。

 ヤクルトのドラフト2位ルーキー・小川泰弘(22)だ。すでに2勝をマークし、自責点はゼロ(4月16日時点)。圧巻だったのは2戦目の中日戦だ。6回1死まで、あのノーラン・ライアンの代名詞である〝無安打無得点〟ピッチング。直球とカットボールを軸に計7つの球種をコーナーに投げ分け、7回被安打1の完璧な内容で、その実力を知らしめた。

 持ち味は、なんと言っても豪快なフォーム。左足を胸の位置まで勢いよく上げるモーションは、メジャー通算324勝の豪腕投手を意識して、創価大3年時に作り上げたものだ。

「ライアンの著書に感銘を受けて、フォームを作り変えました。体が小さい人間でも、日本を代表する投手になれると証明したいんです」(本人談)

 身長は171cm。小柄な体をフルに使って投げ込むストレートの平均球速は140km/h前後にすぎない。

「ピッチャーが足を高く上げるということは、バッターからすると球の出所が分かりづらくなるのです」

 そう解説するのは、小川と同じように足を高く上げる豪快なフォームで215の勝ち星を積み上げた〝マサカリ投法〟の村田兆治氏だ。

「打者は基本的に『イチ、ニッ、サン』のリズムで投球にタイミングを合わすものです。ところが小川君の場合は『イチ、ニィ、ニィ、サン』で放ってくる。2つ目の『ニィ』の〝間〟は折り曲げた左膝で作っています。この0コンマ何秒かが、打者のタイミングを狂わすわけです」

 ライアンゆずりの豪快なフォームに目を奪われがちだが、その本質は、打者との駆け引きに長けた技巧派、なのである。

「こうした投法は強靭なフィジカルを備えていなければ完成しない。私の場合は、足を上げる動作だけで毎日2000回、3時間かけていました。彼も大学時代に走り込みの量を増やし、のみならず、股関節を柔らかくするために股割りを練習メニューに取り入れたと聞く。そうした試行錯誤が報われたのだと思います」

 気になる初年度の成績は「疲れが出てくる時期に、股関節の柔軟性を高めるトレーニングを怠らなければ15勝も可能」と、村田氏は予想する。