プーチン大統領が不信に思った安倍首相訪露前のマイナスな行動
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.012 くにまる・ジャパン発言録より
【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.012 目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
 ■分析メモ(No.27) 「ボストン爆弾テロ事件におけるチェチェンファクター」
 ■分析メモ(No.28)「安倍晋三首相訪露の注目点」
―第2部― 読書ノート
 ■読書ノート(No.30)「日中で意地の張り合いをしてもプラスにはならない」
 ■読書ノート(No.31)「習近平政権に勝利した安倍外交」
 ■読書ノート(No.32)『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録br /> ―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(6月上旬まで)

深読みジャパン

邦丸: 今日はこのニュースをまず、取り上げましょう。

伊藤: スポーツ報知の社会面です。「史上最速 村上春樹さんの新作小説 7日間で100万部達成!」。

 出版大手の文藝春秋は昨日、世界的人気作家・村上春樹さんの新作小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が発売7日目で累計100万部に達したと発表しました。2004年に出版された『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』」の初版290万部という記録はありますが、文藝春秋は「文芸作品では最速のミリオンと思われます」と話しています。

邦丸: 『週刊現代』(5月4日号)の『激論 村上春樹の新刊本「どう読むのが正しいか」』という特集記事に佐藤さんのコメントが載っているのですが、村上春樹さんの主要な小説はロシア語に訳されているということですね。

佐藤: そうです。村上さんの小説というのはロシア語に訳されていて、ロシアには「ハルキクラブ」というのもあるぐらいです。

邦丸: ハルキクラブ!

佐藤: ロシアのインテリはきちんと村上春樹を語ることができます。

邦丸: 読んでいらっしゃるということですね。

佐藤: みんな読んでいます。『1Q84』なんてロシア語訳のほうが英訳より早かったんですよ。

伊藤: へえ~。

佐藤: 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も明らかに英語にすることを考えた日本語になっていますね。

伊藤: 今日、お持ちくださっているんですよね。

佐藤: ヨーロッパ圏で読んだら、すごくホット。ボクは、これを早く英訳すればノーベル賞を獲れると思う。『1Q84』は英訳するのが遅かったの。村上さんが英語がものすごくできるから細かくチェックするし、3部まであるので遅かったんですよ。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は1冊だけだから、英訳は比較的早くできるので、再びノーベル賞の話題になると思いますよ。

邦丸: 佐藤さんが『週刊現代』にお書きになっている原稿によりますと、村上春樹さんがお書きになった小説をテーブルに、いろいろな話ができるということです。

佐藤: そうなんです。いろいろ細部の話でおもしろいものがあるんですね。ベストセラーのネタバレは禁止──これは業界の縛りで、私も作家協会の一員だから守らないといけないんだけれど、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は“名古屋”がご当地であることが非常に大きな要素です。

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邦丸: さて、もうひとつ伺いたいのが、4月28日。前回、佐藤さんにお越しいただいたときに、この日は「日本の主権回復の日」であるのだけれど、沖縄の県民のみなさんにとっては「屈辱の日」なんだと。このことをもう少しちゃんと意識しなければいけないよというお話をしていただいたなかで、翌29日に安倍晋三総理大臣がロシアを訪問されます。このときに、ひょっとすると北方領土の歯舞、色丹の2島返還ということに・・・・・・。

佐藤: いや、ここでは動かないです。まったくムリです。それは、両国の外務省の準備がぜんぜんできていないから。

(略)

邦丸: 森喜朗元総理が露払いの役を民主党政権時代に続けていらして……。

佐藤: 露払いをやったはいいのだけれど、その後、逆行することをやっちゃったんですよ、官邸がッ。

邦丸: な、なんですか?

佐藤: 「北方領土の件は絶対に動かすべきじゃない」「プーチンは弱い指導者だ」ってことを言っている新潟県立大学の袴田茂樹さんという先生がいるんですけれど、4月1日にこの人と安倍総理が首相官邸で会っちゃったんですよ。

邦丸: なんで?

佐藤: 私もびっくりして「なんで?」って外務省に聞きましたよ。「首相動静」に出ているので。「ロシアとの関係を進めるべきではない」「北方領土なんか返ってこない」ということを公言している人と総理が会っちゃったから、クレムリンが反応しちゃって、こっちにも連絡が来て、「これはどういうシグナルですか。ロシアとの関係を進めるべきでないと言っている人と総理は二十何分間、会っているんだけど」と、こういう話になっちゃっているんですよ。だから、森さんがせっかく露払いした後に、ゴミ箱をひっくり返して邪魔しているという感じですね。

邦丸: 現在の官邸は機能的にもスタッフ的にも充実しているという話も聞きますが。

佐藤: というのが“神話”だったということがはっきりわかりますね、ロシアに関しては。

邦丸: 神話! え~っ、だって外交上、すごくマイナスになっちゃうわけでしょ、会うべきでない人と会ったりするってことは。

佐藤: そうですよ。なにかのシグナルと見られますからね。これは今月末発売の月刊『Will』にも書きましたけど、この袴田会見というのがものすごいマイナスになるでしょうね。袴田さんは森さんを徹底的に批判している人ですから。

邦丸: 森さんも現職のときはいろんなことを言われた方ですけれど、このスタジオにも来ていただきましたけれど、ことロシアに関しては、本当に粉骨砕身頑張っていらっしゃいますよね。

佐藤: 「日本は間違った対ロ外交をやっている」「プーチンとやっていることはまちがいだ」と、そういうことを書いている人と、訪ロ直前に総理が会っているわけですから。
伊藤: なんでまた、会っちゃったんですかねえ。

佐藤: 総理に親しい人で、「この人の話を聞いておいたほうがいいですよ」とアドバイスした人がいたということですよ。

邦丸・伊藤: うーん……。

佐藤: そのアドバイスを聞いちゃったということですよ。恐らく、この放送を内閣情報調査室が聴いていて、文字に起こすと思うから、それで初めてわかるってことです。今日の午後ぐらいになってから騒動になると思いますけどね。・・・・・・

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