『2030年 世界はこう変わる』(米国国家情報会議=編) ~序、まえがき、第1章より一部抜粋~

2013年05月09日(木)
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メガトレンド② 権力の拡散

アメリカを始め欧米各国の力が衰え、世界は「覇権国家ゼロ」状態に

 2030年までには、国際社会の権力構造も大きく変わります。権力は「独占」状態から「分散」されていくようになります。具体的には、発言権を持つ国家の数が増える一方、国家ではない非公式な団体やネットワークの発言力も増すでしょう。これは1750年以降続いてきた欧米中心主義を反転させ、アジアが再び国際社会と国際経済の主役になることを意味します。

 「GDP」「人口」「軍事費」「技術投資」の4点から試算した国力比較によると、2030年までにアジアの地域としての力は北米と欧州を合わせた力よりも大きくなる見通しです。2020年代のどこかで、中国は米国を抜き世界第1位の経済大国になります。相対的に、低成長を続ける欧州や日本、ロシアの経済力は弱まります。

 現在、「第2集団」とみられている非・西欧国の経済成長も無視できません。コロンビア、エジプト、インドネシア、イラン、南アフリカ、メキシコ、トルコなどが、この「第2集団」に属します。中国やインドに比べると一国一国の存在は小さいですが、集合体として考えた場合、その力は2030年までに欧州や日本を上回ると試算されています。

 ゴールドマン・サックスは、今後高成長が期待できる国家11ヵ国を「ネクスト・イレブン」と呼んでいます。含まれるのは、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、韓国、トルコ、ベトナムです。我々独自の試算によると、2030年までにこの11ヵ国の国力の合計は、EU27ヵ国の合計を抜くことになります。

中国の覇権は短命?

 2030年の国際社会を想像してみましょう。この11ヵ国の国力がEU27ヵ国より大きく、さらにその上に中国とインドが世界の"スーパーパワー"として君臨する構図です。国際社会の中枢がすでに非・西欧国に移っていることは明白です。 

 それまでに中国はアジアのトップとしての地位を不動のものにしているでしょう。2030年には、中国のGDPは日本のGDPを140パーセント上回るとみられています。

 ただし、「世界一の経済大国」としての中国の地位は意外にも短命となる可能性があります。2030年の時点では、経済規模では依然として中国がインドを上回っている見通しですが、その差は急速に縮まっているはずです。なぜなら、中国の経済成長率が落ち込む一方で、インドの成長率が伸びるからです。

 2030年のインドは、「世界景気の役」と呼ばれる現在の中国のような存在になっているでしょう。2030年の中国にとって、年率8~10パーセントの経済成長を続ける現在の中国は「遠い過去の栄光」になっているはずです。

 中国の労働人口のピークは2016年に到来します。その年の9億9400万人を頂点に、2030年には9億6100万人に減ります。一方で、インドの労働人口のピークは2050年ごろになる見通しです。

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