佐藤優さんに質問「ヘイトスピーチを言論の自由と捉える意見に違和感があります。規制の是非についてどうお考えですか?」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.012 質疑応答より
【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.012 目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
■分析メモ(No.27) 「ボストン爆弾テロ事件におけるチェチェンファクター」
■分析メモ(No.28)「安倍晋三首相訪露の注目点」
―第2部― 読書ノート
■読書ノート(No.30)「日中で意地の張り合いをしてもプラスにはならない」
■読書ノート(No.31)「習近平政権に勝利した安倍外交」
■読書ノート(No.32)『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録 
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(6月上旬まで)

質問:「話者の誠実性」を獲得するにはどうしたらいいですか?

 前回、孫崎享さんについての質問に答えて下さった際、「話者の誠実性」という言葉が出てきました。私も「話者の誠実性」を獲得したいと思うのですが、どのようにしたらこれを獲得することができるのでしょうか? また「話者の誠実性」ということについて書かれたよい文献がありましたら、教えて下さい。(S.N)

【佐藤優さんの回答】 話者の誠実性を身につけるためには、知っていることと知らないことを区別し、理解できることと理解できないことを仕分けし、他者に対して、自らが考えているのと異なることについては、極力、語らないようにすることです。

「話者の誠実性」について知るためには、ドイツの社会哲学者ユルゲン・ハーバーマスの『コミュニケイション的行為の理論』(未来社)を精読することをお勧めします。

(略)

 私が孫崎さんに対して批判的なのは、過去の孫崎さんの対米姿勢(特にCIA[米中央情報局]との関係)を部分的にですが、具体的に知っているからです。もっとも孫崎さんも私と鈴木宗男さんの関係については、当時、外務省幹部として相当の不満があったと思います。過去のインテグリティーの問題と、現在、孫崎さんが展開している議論に対する批判については、別の位相で議論すべきと思います。

孫崎さんは、自分が考えてもいないようなことを、時局にあわせて言うような人ではありません。孫崎さんが自らの信念に基づいて発言していることを私は疑っていません。それだから、私は孫崎さんの「話者の誠実性」には、問題がないと前回の設問でお答えしたのです。

(略)

 孫崎さんの『日本の国境問題』(ちくま新書)、『戦後史の正体』(創元社)に対する私の批判は、実証的観点からのものです。具体的には、日中漁業条約と日ソ国交回復に関する孫崎さんの記述に問題があると私は考えます。少し細かくなりますが、私の見解を述べておきます。

 尖閣問題に関し、孫崎さんは漁業協定の重要性について次のように記しています。・・・(以下略)

質問:ヘイトスピーチに対して違和感があります。規制の是非を教えてください。

 いつも佐藤優先生の御著書やメルマガ等を通じて知的刺激を受けております。特に先生が書かれた「国家論」は国家と社会の関係性を理解するのに役立ちました。

 ところで、私は在日韓国人三世です。高校卒業時から通名を捨て本名で暮らしています。11年前に韓国語をソウルで一年程学習した経緯もありますが、日本社会では民族性をアピールするよりも差別の無い社会が実現して欲しいという思いで本名を使って過ごしていおります。

 国籍は依然として韓国のままですが、将来日本を離れる予定はなく、自分が生まれた日本国への愛着もあり将来的には帰化も考えております(本名を通名に戻すべきか否かに答えが出せたら実行する予定です)。

 しかしながら最近の在特会を始めとする排外主義の活動のあり方には残念でなりません。映像から「韓国人がテレビからいなくなりますように」というプラカードや、「韓国人は韓国に帰れ!」などのスピーチを確認するにつけ、吐き気がしそうになります。有田芳生参議院議員らがこの問題に関連して嫌韓デモのコース変更を求めるよう東京都公安委員会に要請されたようです。

 私は言論と言っても暴言であり、我々在日同胞の生命の安全さえ脅かされかねない発言を繰り返すというのはもはや自由の領域を踏み外していると考えますので、有田議員の一連の行動には敬意を表しております。

 一方でヘイトスピーチでも言論の自由があるから放置しておけ、という言論人の意見もあります。私はこの意見に前記の理由により違和感があります。佐藤先生は当局の規制の是非についてはどのようにお考えでしょうか。また排外主義に対峙する上で参考になる文献があればご教示下さい。(匿名希望)

【佐藤優さんからの回答】 在特会の攻撃対象は、反原発運動、米軍の新型輸送機MV22オスプレイの沖縄配備に対する異議申し立てなど多岐にわたっています。その特徴は、常に権力側の立場に寄り添い、少数派に対して罵詈雑言を投げかけるところにあります。在特会は、政治運動よりも社会運動と・・・(以下略)

質問:部下を怒鳴りつけた後のフォローなどはどうされましたか?

 以前、週刊SPAの連載で、業務上の報告で嘘をついた部下に対して、佐藤さんは大使館全体に響くような声で叱りつけたというエピソードが紹介されていました。

 現在の労働環境ではパワハラと紙一重の厳しい指導だったと思いますが、その指導により、部下の性格の矯正効果はあったのでしょうか?佐藤さんが叱った際にその部下は泣き出したということですが、部下が出社拒否になったり、逆にその部下から佐藤さんが嫌がらせを受けたりはしなかったのでしょうか?

 上記のような悪い結果を引き起こさなかった場合、叱りつけた後で部下に対してどのようなフォローを実施したのでしょうか?現在、その部下の方が公人となっていない場合は、その部下の方のプライバシーを侵害しない範囲で、大声で叱りつけた後の後日談をお教え頂ければ幸いです。(匿名希望)

【佐藤優さんからの回答】 私が怒鳴る場合には、2つのケースがありました。1つは、矯正効果があって、将来に見込みがある部下です。もちろん成績も優秀です。・・・・・・