『習慣の力 The Power of Habit』 著者:チャールズ・デュヒッグ 翻訳:渡会 圭子 プロローグ 3~13ページより抜粋

2013年05月09日(木)
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 リサが研究者にとって理想の患者である理由は、彼女の脳の画像がとてもわかりやすく、頭の中にある行動パターン、つまり習慣がどこから生まれるのか、マッピングするのに便利だからだ。「人間の意思決定がどのようにして無意識の行動になるのか理解するうえで、あなたは大きな助けになってくれています」医師が彼女に言う。

 その部屋にいた誰もが、何か重要なことが起きそうだと感じていた。

 そして本当に起こったのだ。

全行動の4割が習慣

 今朝起きたとき、あなたはまず何をしただろうか?シャワーを浴びた。メールをチェックした。キッチンへ行ってドーナツにかぶりついた。歯を磨くのは風呂に入る前かあとか。靴ひもを先に結ぶのは右足か左足か。出かけていく子供に何と声をかけるか。どの道を通って仕事に行くか。席に着いたら最初にするのはメールのチェックか。あるいは同僚とのおしゃべりか。それともすぐメモを書き始めるか。ランチはサラダ?それともハンバーガー?家に帰ったらスニーカーにはきかえてジョギングに出かける?それともテレビの前で一杯やりながら夕食を食べる?

「私たちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない」

 1892年にウィリアム・ジェームズはそう書いている。私たちが毎日行っている選択は、よく考えた末の意思決定だと思えるかもしれないが、実はそうではない。それらは習慣なのだ。一つ一つの習慣はそれほど重要ではない。しかし長期的に見ると、食事で何を注文するか、毎晩子供たちに何を言うか、お金を貯めるか使うか、運動をどのくらいするか、考えをどうやってまとめるか、そしてどんな手順で仕事をしているかといったことが、その人の健康や効率、経済的安定、幸福感などに大きな影響を与えている。デューク大学の学者が2006年に発表した論文によると、毎日の人の行動の、じつに40パーセント以上が、「その場の決定」ではなく「習慣」だという。

『習慣の力 The Power of Habit』
著者:チャールズ・デュヒッグ
翻訳:渡会 圭子
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 本書は3部に分かれている。

 第1部は、個人の生活の中で習慣がどのように出来上がっていくかをテーマにしている。いわば「個人の習慣」である。具体的には、いかにして新しい習慣がつくられ、古い習慣が変わっていくかといった、「習慣の形成」を神経学的に掘り下げていく。たとえば一つの広告が、それまであいまいだった歯磨きという行為を、強迫的な習慣にまで押し上げた過程について考える。他にはファブリーズというスプレーを消費者の習慣に組み込んで10億ドルのビジネスに育て上げたP&G、依存症の核となっている習慣を壊すことで患者の生活を立て直しているアルコール依存症更生会、そしてフィールドでの小さなきっかけに対する選手の反応を変えることに専念して、NFL最下位だったチームの運命を変えたアメリカン・フットボールのコーチ、トニー・ダンジーなども紹介していく。

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