リーダーは決して"momentalian"であってはならない---ブッシュ政権の大統領上級顧問ブラッドリー・ブレイクマン氏からの警鐘
ブラッドリー・ブレイクマン氏(ワシントンにて筆者撮影)

 「米国社会の問題点はmomentalian(モメンタリアン=短期的な視点しか持たず、将来のことを思慮深く考えられない人)が増えたことだ)」

 先のブッシュ政権で大統領上級顧問を務めたブラッドリー・ブレイクマン氏の言葉である。"momentalian"とは氏による造語である。

 米国は、失業率は高止まりのまま、ガソリン価格は高騰し、生活苦から家を手放す人の増加する一方、といった具合にリーマンショック後の不景気からいまだに立ち直れないでいる。ブレイクマン氏は「(米国人は)日々の生活で手一杯の状況にある」とmomentalianが増えている背景を説明する。

 前回の本コラムで「ジョージタウン大学日米リーダーシッププログラム(GULP)」(主催: ジョージタウン大学、ジャパンタイムズ 協賛: 日本アムウェイ 後援: 外務省、駐日米国大使館 協力: 全日空)のことを紹介したが、ブレイクマン氏は同大教授を務めており、上の発言は同プログラムの中での熱弁のひとコマである。

政治家は絶対にmomentalianになってはいけない

 ブレイクマン氏は「パパブッシュ」の頃からホワイトハウスに仕えた。大統領が面会する人物の身元調査、スケジュール調整、食事場所の選定などが主な仕事で、大統領の政治活動を陰から支えてきた人物である。

 同氏は小泉首相とブッシュ大統領が西麻布の焼鳥屋で会食した、あの「演出」にも関与した。ホワイトハウスの「ロジステック」を支えてきた一人であり、米国大統領の判断や行動をつぶさに見てきた。そこから「真のリーダーシップとは何か」を常に考え、リーダーシップを発揮できるような環境を整備してきたのであろう。笑顔の講義でも眼光は常に鋭かった。

 「権力にたどり着いた人は、その道筋を決して忘れてはいけない」とブレイクマン氏は言う。ハードなスケジュールの中でも、大統領ができるだけ多く支持者らと面談できるように配慮もする。また大統領の宛の手紙で返事が必要なものは、それまでは、返事を出すまでに約90日もかかっていたところを、48~72時間以内に発送できるシステムに変えたという。

 「大統領は社長です。ホワイトハウスの運営システムを変えていくことも大事なリーダーシップなのです」

 ブレイクマン氏はこれまで、次のような持論を掲げてきた。

 「政治家は絶対にmomentalianになってはいけない。politician(政治屋)になってもいけない。statesman(国士)であるべきだ。真の政治家とは明確なビジョンを持って国民のために働ける人であり、長期的な展望に立ったロードマップを提示することこそが政治家の仕事である」

 しかし、今のアメリカの現状を憂い、「ワシントンに政治家は多いが、人を率いる優れた真のリーダーはいない」とも語った。

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